仕事中に蜂に刺されたけど労災になる?

質問

仕事中に立木を伐採するために山道を歩いていたとき、蜂が急に飛んできて刺されてしまいました。近くに蜂が数匹飛んでいたので、巣があるかもしれないと気をつけていたのですが、突然、刺されたので防げませんでした。蜂に刺された場合は労災になるのでしょうか。

答え

蜂に刺される危険性が内在していたものと考えられれば労災になる可能性があります。

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仕事中に蜂に刺されたが労災になる?

仕事中に蜂に刺された!労災?

蜂に刺された場合、油断していると、ショック症状を起こし最悪死に至ることもありますから注意が必要です。水で洗い流したり冷やしたりなどの応急処置の後、すぐに病院を受診することをおすすめいたします。

さて、蜂に刺されたことが労災になるかどうかとのことですが、その前に少しだけ労災の仕組みについてお話しさせてください。

仕事中に起きた災害が労災と認められるためには、その災害に「業務遂行性」と「業務起因性」の2つが認められることが必要になります。

難しい言葉ですのでかんたんに説明しますと、「業務遂行性」とは『ちゃんと業務命令に基づいて仕事をしていましたよ』ということで、「業務起因性」とは『仕事にちゃんとした原因があるんですよ』『その仕事にひそむ危険が現実化したことによりけがをしたんですよ』ということです。この2つが認められないと業務災害にはなりません。

蜂に刺されて労災になる例

上記の「蜂に刺された」という事例で考えてみますと、立木の伐採のために山道を歩行中に突然、飛んできた蜂に刺されたとのことで、周りには蜂が数匹飛んでいたとのことですから、状況から考えて、蜂の巣が近くにあった可能性が考えられます。

山林には、蜂の巣があっちこっちにあることも珍しくなく、また「蜂に刺される」以外にも、いろいろな危険がひそんでいる場所です。今回のことは、「立木の伐採場所に向かう途中」に、つまり「仕事を遂行中(業務遂行性)」に、「蜂に刺された」つまり「山林で行う業務に内在する危険が現実化した(業務起因性)」ものとみることが適当と思われます。

したがって、「業務遂行性」と「業務起因性」の2つが認められることから、業務災害に該当すると考えられ、治療費などの必要な給付を労災保険から受けられるものと思われます。

蜂に刺されても労災にならないかもしれない例

上記の仕事の遂行中に山道を歩いていて蜂に刺された場合でも、労災に認定されない場合もあります。それは、たとえば歩行中に蜂の巣を見つけて、面白がってふざけて巣をいじったり刺激したりしたことで蜂に刺されたような場合です。このような場合は、業務を逸脱し労働者の私的行為や恣意的行為によって発生した災害とみなされ、業務外と判断されてしまう場合があります。

また、上記の例のような「山道」の場合は十分に蜂に刺される危険が内在しているといえます。しかし、普通に考えて蜂に刺される危険性があまりないような場所で蜂に刺された場合はどうでしょうか。

結論をいいますと、電車の中や事務所内などでたまたま迷い込んできた蜂に刺されてしまったような場合、「業務に内在した危険が現実化した」と言い切ることはできず、労災にならないケースがあります。(個々のケースで労基署による判断となります)

  • 業務災害と認められるには「業務遂行性」と「業務起因性」が必要!
  • 業務に内在する危険が現実化したものと判断されれば業務上に!

蜂に刺された場合も労災のこの基本原則は変わりません。

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