指が曲がらない後遺障害の労災の金額はいくらもらえる?

質問

「指が曲がらない」という後遺障害が残ってしまいました。この場合、労災の「障害等級」と「もらえる金額」を教えてください。

ココがポイント
  • けがした指、関節、曲がる角度などによって障害等級が変わります。
  • 平均賃金などによっても金額が変わります。

こんにちは!『労災保険!一問一答』のHANAです。

指が曲がらくなったなどの後遺障害が残ってしまったときの『労災認定の方法とは?』『労災の障害等級は◯級になる!』『労災からいくらもらえるの?』などについてお答えしていきます。

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下でくわしくお話するよ!

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労災の後遺障害について

けがや病気が治った(症状固定した)としても、後遺障害が残ってしまうときがあります。

労災保険では、この後遺障害についても補償の制度があり、これを障害(補償)給付と呼んでいます。

障害(補償)給付は、残った後遺障害の重さによって1級から14級までに分けられていて、この等級によってもらえる金額が違ってきます。

指が曲がらない後遺障害の労災

指が曲がらない後遺障害の労災

骨折などの影響で、残念ながら治療が終わった後も「指が曲がりづらくなった」などの後遺障害が残ってしまうときがありますね。このような場合、労災の障害等級は何級くらいになるのでしょうか?

指が曲がらないときの労災認定の考え方とは?

まずは、指が曲がらない後遺障害の労災認定の考え方についてお話しますね。

指の障害の労災認定

わかりやすいようにここでは指の関節を上図のように呼ぶことにします。(親指は関節が2つしかないので第1関節と第3関節にしました)

指が曲がりづらくなったときの労災認定の考え方は大きく次の3つがあります。

指によって障害等級が変わる

曲がらなくなった指がどの指なのかによって障害等級が変わります。

  1. 親指
  2. 人差し指・中指・薬指
  3. 小指

同じ後遺障害が残ったとしても、この順番で障害等級が高くなります

ネコ太郎
ネコ太郎

やっぱり親指が生活に一番大事な役割を果たしているということだニャ〜。

関節によって等級に該当する角度の基準がちがう

曲がりづらくなったのがどの指のどの関節なのかによって、障害等級に該当するかしないかの基準となる角度が違います。

障害等級に該当するかしないかの基準
  • 人差し指・中指・薬指・小指の第1関節 → ほとんど曲がらないこと
  • その他の関節 → 反対の手の半分以下しか曲がらないこと

たとえば、「右手の人差し指の第2関節が曲がりづらくなった」ときを例にしてみます。人差し指の第2関節って普通は90度くらいは曲がりますよね?なので、なんでもない方の左手の人差し指の第2関節は90度の可動域とします。

この場合、右手の人差し指の第2関節の可動域が0〜45度しかなくなってしまったときに障害等級に当てはまるということになります。

人差し指・中指・薬指・小指の第1関節は、完全に動かなくなってしまったか、動いてもほんのちょっとくらいしか動かすことができなくなったときに障害等級に該当します。

ネコ太郎
ネコ太郎

第1関節よりも第2・3関節の方が日常生活においては重要だということか。

基準に達していなければ何ももらえない

基準があるということは、反対にいえば「指が曲げづらくなった」という後遺障害が残ったとしても、基準以上に動かすことができればお金はもらえないということです。

上の「右手の人差し指の第2関節」の例でいいますと、50度とか60度とか動かすことができるのなら障害等級に当てはまりません。

人差し指・中指・薬指・小指の第1関節はさらに条件が厳しくなっていて、ほとんど曲げられないような状態じゃないと障害等級に当てはまってきません。

後遺障害の等級は何級?

指の動きが悪くなったという後遺障害が残ってしまったとき、障害等級は何級くらいになるのか?

「最も高い等級」になるときと「最も低い等級」になるときを例に、それぞれ何級になるのかを見ていきましょう。(※指一本の場合です)

最も高い等級

一番高い障害等級になるのは「親指の関節の動きが半分以下になった」ときです。2つある関節のどちらでも同じですし、両方だとしても同じです。

この場合、障害等級表の「1手の母指又は母指以外の2の手指の用を廃したもの」に当てはまりますので、第10級になります。

最も低い等級

反対に、一番低い障害等級になるのは「人差し指か中指か薬指か小指の第1関節がほとんど動かなくなった」ときです。

この場合、障害等級表の「1手の母指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの」に当てはまりますので、第14級になります。

いくらもらえる?

障害等級表

後遺障害として労災認定された場合、上の表の「障害(補償)給付」と「障害特別支給金」が両方もらえます。さらに、けがをする前に賞与などが支給されていた人は上乗せされる分(障害特別年金または障害特別一時金)もあります。

障害(補償)給付と障害特別支給金

けがをする前にもらっていた給料から計算される給付基礎日額を1日分として、各障害等級に応じた給付日数分の金額が支給されることになります。

たとえば、けがをする前に月30万円の給料をもらっていた人の場合、給付基礎日額は約1万円になります。

この人が第10級の後遺障害に認定された場合は「1万円×302日分=302万円」と、「障害特別支給金39万円」の、合計341万円がもらえます。

第14級の後遺障害に認定された場合は「1万円×56日分=56万円」と、「障害特別支給金8万円」の、合計64万円がもらえます。

※さらに、けがをする前に賞与などが支給されていた人は上乗せされる分(障害特別年金または障害特別一時金)もあります。

ネコ太郎
ネコ太郎

指の後遺障害でも大きな差があるニャ〜。

その他の指の後遺障害も見てみよう

今回あげた例のほかにも、「2本以上の指に障害が残ってしまった」「指を切断してしまった」「指の骨の一部がなくなってしまった」「痛みやしびれが残ってしまった」「ツメがなくなってしまった」など、いろいろなケースがあると思います。

2本以上の指に障害が残ってしまった

1つの指に後遺障害が残った場合でお話してきましたが、2つ以上の指が動かなくなるときもあります。また、両手の指に障害が残ってしまうこともあるかもしれません。

この場合、組み合わせなどにより何級になるかが決められています。

  • 人差し指と中指の第3関節が動かない → 第10級
  • 1つの手が5本とも動かない → 第7級(年金)
  • 両手の指がまったく動かない → 第4級(年金)

指を切断してしまった!

指を切断した場合、「切断した指」や「切断の程度」によって障害等級が決まります。

  • 小指を第1関節で切断した → 第13級
  • 中指を第1関節と第2関節の間で切断した → 第12級
  • 中指を第2関節で切断した → 第11級
  • 親指を第1関節で切断した → 第9級
  • 親指以外の4本を第3関節で切断した → 第7級(年金)
  • 両手の指を第3関節で全部切断した → 第3級(年金)

指の骨の一部がなくなってしまった

切断までにはいかなくても、骨折した影響などで指の骨の一部が欠けてしまうときもあります。

  • 人差し指の骨の一部がなくなった → 第14級
  • 親指の骨の一部がなくなった → 第13級

痛みやしびれが残ってしまった

曲がりづらくなったとか、切断などの後遺障害が残っていないとしても、痛みやしびれなどがずっと残るようなときもあります。

このような場合は、痛みの程度や原因などにより第14級や第12級などに認定されることがあります。

ツメがなくなってしまった

指の切断や骨の欠損まではいかなくても、爪がなくなってしまったり小さくなってしまったりすることがあります。

しかし、残念ですが、爪の欠損は労災の障害等級表の中にありませんので、障害等級にが当てはまらないと考えられます。

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