毎月勤労統計誤りで影響が出る対象者について

厚生労働省の毎月勤労統計調査の不適切問題。追加給付の対象者とは?

最近、ニュースを騒がせている厚生労働省による「毎月勤労統計調査」の問題。

そもそもこの「毎月勤労統計調査」という言葉。なかなか聞き慣れない言葉ですよね。

ですので、今回はできるだけわかりやすく、この問題や追加給付を受けられる対象者についてご説明してみたいと思います。

毎月勤労統計調査イメージ

毎月勤労統計調査とは?

厚生労働省が毎月おこなっている調査で、以下のような目的のため実施されているものです。

  • 景気の動向の判断
  • 労災保険、雇用保険、船員保険などの給付額の算定
  • GDPの算定 など

事業場に対して従業員の給与などを報告させ、それを集計することで業種別の平均給与などを算出するんですね。

毎月おこなうことで、「世の中の給与がどう変動しているのか」がわかり、景気の判断の目安にすることができます。

毎月勤労統計調査は、国勢調査や人口推計調査などと同じ「基幹統計調査」の一つで、国がおこなっている大事な統計調査の一つなんです。

毎月勤労統計での不適切調査って何?

毎月勤労統計調査では、従業員が500人以上いる事業場はすべて調査対象となっています。

ですが、東京都ではそういった大きい事業場がたくさんあることから、厚生労働省の指示で、実際はその3分の1しか調査がおこなわれていませんでした。理由は、東京都は従業員500人以上の事業場が多く、すべて調査をしなくても制度は確保できると判断していたからとのこと。

これにより、正しく調査がおこなわれた場合に比べて、平均給与が低くなってしまっていたということなんです。

厚生労働大臣による会見によりますと、この不適切調査は2004年から2017年の14年間にわたっておこなわれていたとのことです。

それで何が問題なの?

昨年の1月に外部からの指摘があったことで、調査手法を変え、かつ、データの補正もおこなっていたとのことで、長年にわたり同様な調査がおこなわれていたことについて隠ぺいしようとしていたのではないかなどのことも言われています。

ですが一番の問題は、重要な統計調査にも関わらず正しい調査がおこなわれていなかったことで、さまざまなものに間違ったデータが使用されていたということです。

したがって、労災保険、雇用保険、船員保険の給付額の算定やGDPの算定など、これらのデータが使われているものはすべて、やり直しが求められることになると思います。

労災保険への影響は?

当サイトは労災保険のサイトですので、労災保険への影響について書いてみたいと思います。

厚生労働省のホームページによりますと、労災保険関係では、以下の方が追加給付の対象となる可能性があると書かれています。

「傷病(補償)年金」、「障害(補償)年金」、「遺族(補償)年金」、「休業(補償)給付」などの労災保険給付や特別支給金等を平成16年7月以降に受給された方

毎月勤労統計調査に係る雇用保険、労災保険等の追加給付について

また、気になる追加給付の金額については、以下のように書かれています。

  • 年金は、平均で年額9万円
  • 休業補償は、平均で1ヶ月あたり300円

ただし労災給付を受けた全員が影響を受けるわけではない

「平成16年7月以降に受給された方」と書かれてはいますが、平成16年7月以降に労災から年金や休業補償を受けたすべての方が追加給付の対象となるわけではありません。

理由は、労災保険の給付額の算定にすべて毎月勤労統計調査の結果が使われているわけではないからです。

では、どういう方が、毎月勤労統計調査の結果が使われているのでしょうか。

労災保険で毎月勤労統計調査の結果が使われている方とは?

今回のケースの場合、以下のようなケースが追加給付の対象になると思われます。(全員ではありません)

  • スライド制の対象になっている方
  • 振動障害、じん肺、石綿関連疾病などの遅発性疾病で認定を受けている方

「スライド制」とは、労災保険では事故発生当時にもらっていた賃金を基準に給付基礎日額が決められ、その金額をもとに給付額が決定されていますが、受給年月が長くなってくると賃上げなどで世の中の賃金水準が変化することから、それに合わせて給付基礎日額を上げ下げすることにより、給付される額を調整される制度です。

この上げ下げされる幅も、毎月勤労統計調査の結果が使用されていることから、労災年金を比較的長期間(数年以上)にわたり受けている方など、スライド制の適用になっている方は追加給付の対象になると思われます。

また、振動障害、じん肺、石綿関連疾病などで労災を受けている方も追加給付の対象となる可能性があります。

振動障害、じん肺、石綿関連疾病などは、実際にばく露してから発症するまでに時間がかかることから、その間の賃金水準の変化などが考慮されて給付基礎日額が決定されています。これにも毎月勤労統計調査の結果が使われていることから、追加給付の対象となる可能性があります。

自分が追加給付の対象になるかはどこに聞けばいいの?

厚生労働省のホームページによりますと、通話料無料で相談窓口が設けられているようですので、こちらに問い合わせすることをおすすめします。

  • 労災保険追加給付問い合わせ専用ダイヤル 0120-952-824
  • 雇用保険追加給付問い合わせ専用ダイヤル 0120-952-807(※事業主向け助成金の問い合わせも含む。)
  • 船員保険追加給付問い合わせ専用ダイヤル 0120-843-547 又は 0120-830-008

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