下でくわしくお話するよ!
労災保険の対象となる労働者とは
労災保険の対象となる「労働者」とは、職種を問わず、事業に使用される人で、賃金を支払われる人をいいます。
少し具体的に説明しますと、雇われるときは通常なんらかのかたちで使用者側(会社)と雇われる側(労働者)で「雇用契約」を結びます。書面でもらうときもあれば口頭で言われるような場合もあると思います。
たとえば、雇われるとき「あなたの時給は1,200円ですよ。」「勤務時間は、9時から17時までですよ。」「休みは土日祝ですよ。」「残業した場合は2割5分増しで時給を払いますよ。」「有給休暇は10日間つきますよ。」というような約束事を交わすと思いますが、これを一般的に雇用契約といい、この雇用契約のもと労働に従事し労働力を提供する人を「労働者」といいます。
正社員も、学生アルバイトも、パートのおばさんも、派遣社員も、みんな雇われるときはこのような取り決めを交わして、労働力を提供する代わりに、賃金をもらうんです。呼ばれ方が違っても、そこのところはみんな同じですので、正社員やアルバイトなどの雇用形態に関わらず、労災保険の対象になります。
労災の対象・適用にならない場合とは
労災の適用にならない人とはどんな人なのでしょうか。社長のほかに「労働者」にならないような場合を考えてみましょう。
・請負
建設業などに多いと思いますが、請負契約による下請負人は「労働者」とはなりません。請負とは「○○円あげるから、いつまでに、この仕事を完成してくれ。」という契約ですので、言われたことさえきちんとやれば労働時間や仕事のやり方などに制約は受けませんので、雇用契約とは異なります。
・委託
委託契約も請負と似ていますが、同様に事業に使用される関係ではありませんので、「労働者」にはあたりません。
・法人の役員
法人の取締役や理事などは、通常は賃金ではなく役員報酬を得て、会社に対する指揮命令権(業務執行権)を与えられています。使用者側の人間と考えられますので、一般的に「労働者」とはなりません。
ただし、法人の取締役などであっても、業務執行権を持たず、かつ業務執行権がある取締役などの指揮命令を受けて労働に従事し、その対償として賃金を得ている人は、原則「労働者」と取り扱うことになっています。一般的には、平取締役や取締役総務部長などと言われているような人が多いかもしれませんが、この要件に該当するような場合は労災保険上の労働者として取り扱われている場合が多いようです。
・同居の親族
社長(事業主)の同居の親族は、原則、「労働者」とはなりません。社長と同居している奥さんやお子さん、おじいちゃんなどが一緒に働いているような場合です。
ただし、常時、同居の親族以外の労働者を使用している場合で、事業主の指揮命令に従い労働に従事していることが明確であり、かつ、就労の実態が他の労働者と同様で、賃金もこれに応じて支払われているような場合は「労働者」として取り扱います。
つまり、労災保険の対象となるためには、労働時間管理、休日、賃金管理などが他の労働者と同じように扱われていないといけません。たとえば、奥さんが働いているような場合で、忙しいときだけ手伝ってもらっているような感じだったり、時間外労働をしても残業代がちゃんと計算されていないなど、賃金の支払いもあいまいになっているような場合は労災保険の対象にはならない可能性が高くなります。