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アスベスト(石綿)解体工に発症した肺がんや中皮腫

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Q 私の主人は、定期健康診断で肺の影を指摘され、精密検査を実施した結果、「肺がん」と診断されました。

主人は若い頃から10年前まで解体工として現場で働いており、解体した古い建物などには断熱材としてアスベスト(石綿)が使われていたと聞いたことがあります。解体業務によりアスベスト(石綿)にばく露したことにより肺がんを発症したと思うのですが、このアスベスト(石綿)による肺がんの労災認定・調査などについて教えてください。

 

A アスベスト(石綿)ばく露労働者の肺がんや中皮腫などの石綿関連疾患は、一般的に20年ないし30年ほどの潜伏期間があり、退職後に発症することも多いことから、どのようなアスベスト(石綿)ばく露作業に従事していたか、業務と疾病との因果関係、労災の認定基準に合致するかどうかなど、調査が行われることになります。

 

アスベスト(石綿)とは

アスベスト(石綿)は、耐熱性や耐摩耗性などに優れていたり、丈夫で変化しにくいという特性を持っていることから、断熱・防火・絶縁の素材として広く使用されてきました。

しかし、アスベスト(石綿)は、肺がんや中皮腫を発症する発がん性が問題となり、現在では、原則として製造・使用などが禁止されています。石綿の種類には主に「白石綿」「青石綿」「茶石綿」などがあり、その発がん性の強さは次のようになります。

 

青石綿 茶石綿 白石綿
青石綿 茶石綿 白石綿

画像:国立科学博物館

 

これらの石綿粉じんにばく露することにより、石綿肺を発症する恐れがあるほか、肺がんや中皮腫を引き起こす可能性があることが広く知られるようになりました。

 

労災保険で補償の対象となるアスベスト(石綿)による疾病は?

アスベスト(石綿)との関連性が明らかな疾病として次の5つがあげられており、労災保険ではこの5つの疾病を労災補償の対象としています。

  1. 石綿肺
  2. 中皮腫
  3. 肺がん
  4. 良性石綿胸水
  5. びまん性胸膜肥厚

 

アスベスト(石綿)ばく露作業ってどんなものがあるの?

労災保険における「石綿ばく露作業」とは、以下のようなものをいうとされています。

  1. 石綿鉱山またはその附属施設において行う石綿を含有する鉱石または岩石の採掘、搬出または粉砕その他石綿の精製に関連する作業
  2. 倉庫内などにおける石綿原料などの袋詰めまたは運搬作業
  3. 石綿製品の製造工程における作業
  4. 石綿の吹付け作業
  5. 耐熱性の石綿製品を用いて行う断熱もしくは保温のための被覆またはその補修作業
  6. 石綿製品の切断などの加工作業
  7. 石綿製品が被覆材または建材として用いられている建物、その附属施設などの補修または解体作業
  8. 石綿製品が用いられている船舶または車両の補修または解体作業
  9. 石綿を不純物として含有する鉱物(タルク(滑石)など)などの取り扱い作業

これらのほか、上記作業と同程度以上に石綿粉じんのばく露を受ける作業や、上記作業の周辺などにおいて間接的なばく露を受ける作業も該当することになっています。

 

アスベスト(石綿)による疾病の労災認定要件について

労災保険における石綿の認定基準は、けっこう難解です。

厚生労働省作成のパンフレットがわかりやすくまとめられておりましたので、そこから引用させていただき下に掲載しました。

発症した疾病ごとに認定要件が異なっており、それぞれ以下のような場合に業務上疾病として労災認定されることになっています。

 

1.石綿肺(石綿肺合併症を含む)

石綿ばく露労働者に発症した疾病であって、じん肺法に規定するじん肺管理区分(管理1〜4)に基づき、以下の①、②のいずれかに該当する場合、認定されます。

 

管理4の石綿肺(石綿肺によるじん肺症)

 

管理2、管理3、管理4の石綿肺に合併した疾病

「合併した疾病」とは、次の疾病のことを言います。

  • 肺結核
  • 結核性胸膜炎
  • 続発性気管支炎
  • 続発性気管支炎拡張症
  • 続発性気胸

 

2.中皮腫

石綿ばく露労働者に発症した胸膜・腹膜・心膜または精巣鞘膜の中皮腫であって、じん肺法に定める胸部エックス線写真の像の区分(第1〜4型)または石綿ばく露作業従事期間が、以下の①、②のいずれかに該当する場合、認定されます。

ただし、最初の石綿ばく露作業を開始したときから10年未満で発症したものは除かれます。

 

胸部エックス線写真で、第1型以上の石綿肺所見がある

 

石綿ばく露作業従事期間1年以上

 

3.肺がん

石綿ばく露労働者に発症した「原発性肺がん」(原発性とは、他の部位から肺に転移したものではないという意味)であって、以下の①から⑥のいずれかに該当する場合、認定されます。

ただし、最初の石綿ばく露作業を開始したときから10年未満で発症したものは除かれます。

 

石綿肺所見がある

じん肺法に定める胸部エックス線写真の像が第1型以上である石綿肺所見をいいます。

 

胸膜プラーク所見がある+石綿ばく露作業従事期間10年以上

 

広範囲の胸膜プラーク所見がある+石綿ばく露作業従事期間1年以上

広範囲の胸膜プラークとは

  • 胸部正面エックス線写真により胸膜プラークと判断できる明らかな陰影が認められ、かつ、胸部CT画像によりその陰影が胸膜プラークとして確認される場合
  • 胸部CT画像で、胸膜プラークの広がりが胸壁内側の4分の1以上ある場合

 

石綿小体または石綿繊維の所見+石綿ばく露作業従事期間1年以上

石綿小体または石綿繊維の所見については、以下のいずれかであることが必要です。

  • 石綿小体が乾燥肺重量1g当たり5,000本以上ある
  • 石綿小体が気管支肺胞洗浄液1ml中に5本以上ある
  • 5μmを超える大きさの石綿繊維が乾燥肺重量1g当たり200万本以上ある
  • 1μmを超える大きさの石綿繊維が乾燥肺重量1g当たり500万本以上ある
  • 肺組織切片中に石綿小体または石綿繊維がある

 

びまん性胸膜肥厚に併発

下記にありますびまん性胸膜肥厚の認定要件を満たすものに限ります。

 

特定の3作業に従事+石綿ばく露作業従事期間5年以上

「特定の3作業」とは、「石綿紡績製品製造作業」「石綿セメント製品製造作業」「石綿吹付作業」をいいます。

「従事期間」とは、上のいずれかに従事した期間、またはそれらを合算した期間をいいます。

 

4.良性石綿胸水

胸水は、石綿以外にもさまざまな原因(結核性胸膜炎、リウマチ性胸膜炎など)で発症するため、良性石綿胸水の診断は、石綿以外の胸水の原因を全て除外することにより行われます。

そのため、診断が非常に困難であることから、労働基準監督署長が厚生労働本省と協議した上で、業務上の疾病として認定するか否かの判断がされることになります。

 

5.びまん性胸膜肥厚

石綿ばく露労働者に発症したびまん性胸膜肥厚であって、肥厚の広がりが下記の一定の基準に該当し、著しい呼吸機能障害を伴うもので、石綿ばく露作業従事期間が3年以上ある場合(以下の①〜③全てを満たす場合)に、認定されます。

 

石綿ばく露作業3年以上

 

著しい呼吸機能障害がある

パーセント肺活量(%VC)が60%未満である場合など

 

一定以上肥厚の広がりがある

胸部CT画像上に、

  • 片側のみ肥厚がある場合→側胸壁の2分の1以上
  • 両側に肥厚がある場合→側胸壁の4分の1以上

 

調査はどのように行われる?

石綿関連疾病は、アスベスト(石綿)にばく露してから何十年も経過してから発症するものが多いですので、調査に長期間を要する場合が多いようです。

石綿ばく露作業の調査

労働者が実際に行っていた作業や作業環境などについて、当時の事業場関係者などから聴き取り調査などが行われます。

医学的な調査

確定診断が難しい疾病が多いため、疾病に対する調査が行われます。

最終的に認定要件に該当するかどうか

上記の労災認定要件に該当するかどうかの判断がなされます。

 

管理人画像
管理人

アスベスト(石綿)の対象となる病気は次の5つ!

「石綿肺」「中皮腫」「肺がん」「良性石綿胸水」「びまん性胸膜肥厚」

定期健康診断などでこの5つの病気の疑いがあると言われたら、迷わず病院で精密検査をしましょう!

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