下でくわしくお話するよ!
熱中症の労災認定について
夏になると急激に増える熱中症。日射病や熱射病とも呼ばれることありますね(厳密にはひとつひとつ違うようですが)。
実は私も過去にプールの監視員のアルバイトをしていたときに熱中症になり、救急車で運ばれた経験があります。熱中症は「真夏の炎天下」というイメージを持つ人も多いと思いますが、屋内であっても高温多湿な場所では十分に起こり得ますから注意が必要です。
暑さ指数(WBGT値)について
実際、どのくらいの気温から熱中症の危険度は増えるのでしょうか。それを判断するひとつの指標として、暑さ指数(WBGT値)というものがあります。
人が受ける「暑さ」は単純に気温だけで評価することはできません。暑さ指数(WBGT値)とは、熱中症の予防を目的に、人体の熱収支に与える影響の大きい①湿度、 ②日射・輻射(ふくしゃ)など周辺の熱環境、 ③気温の3つを取り入れて考えられた指標のことです。
それらの関係をかんたんに見やすくしたものが下の表(日本生気象学会 「日常生活における熱中症予防指針」より、WBGT値は推定値)になります。
たとえば、気温が「29℃」と真夏日までには至っていない日であったとしても、湿度が50%を超えたあたりから熱中症の危険が忍び寄り始め、70%を超えると厳重警戒、90%以上では危険ゾーンに入ることがわかります。
熱中症を防ぐために
熱中症は油断しているとだれでも突然、発病する可能性があります。暑熱環境では予防対策を十分にしましょう。
こまめに水分を補給する、帽子をかぶる、エアコンをつける、通気性の良い衣服を着用するなど、仕事中でも熱中症を防ぐ対策をすることが必要です。
熱中症の労災認定基準は?
仕事中に熱中症を発病してしまった場合など、熱中症の労災認定基準はこのようになっています。
一般的労災認定要件
- 業務上の突発的またはその発生状態を時間的、場所的に明確にし得る原因が存在すること
- 当該原因の性質、強度、これが身体に作用した部位、災害発生後発病までの時間的間隔等から災害と疾病との間に因果関係が認められること
- 業務に起因ないし他の原因により発病(または増悪)したものでないこと
医学的診断要件
- 作業条件及び温湿度条件等の把握
- 一般症状の視診(痙攣、意識障害等)及び体温の測定
- 作業中に発生した頭蓋内出血、脳貧血、てんかん等による意識障害等との鑑別診断
一般的労災認定要件について
熱中症を発病した日の作業環境や仕事内容、労働時間、被服の状況、身体の状況などが総合的に考慮され、仕事と熱中症の発病との間に相当因果関係があるかどうかが判断されるということです。
たとえば、「30℃を超える真夏日に朝から夕方まで外で畑作業をしていて熱中症を発病した」というのなら、だれが見ても明らかだと思いますが、「それほど暑くない日に朝1時間だけ畑作業をしたところ具合が悪くなった」というようなことですと、「前夜に深酒してたんじゃないの?」とか「何か他の持病があるんじゃないの?」などと他の原因の関連が疑われてしまいます。
医学的診断要件について
熱中症の症状としては、めまい・立ちくらみ・気分が悪い・頭痛・吐き気・倦怠感など、日常でもありがちな症状が多いことから、作業環境の確認や他覚的所見などから医学的に熱中症として矛盾がないと判断されることが必要です。
仕事中に熱中症になってしまったら…
仕事中に熱中症になってしまった、もしくは熱中症が疑われるような人がいたら、まずは救急措置をして、必要に応じ救急車を呼ぶなど病院を受診しましょう。
その後、労災請求の手続きをするという流れになります。
救急措置
- 涼しい日かげやエアコンが効いている室内などに移動する
- ベルトなどをゆるめ、首周りや脇の下や足の付根などを冷やす
- 水分、塩分などを補給する
- 自分で水が飲めない、意識がない場合は、すぐに救急車を呼ぶ
熱中症の労災請求
労災の請求書を入手して、病院または管轄の労働基準監督署に提出します。