64歳以上も雇用保険料の負担が必要になる
退職したり失業したときに頼りになる「雇用保険」。
雇用保険の保険料は個人負担分と会社負担分があり、個人負担分は給料から天引きされて、会社負担分とあわせて会社がまとめて支払っています。
この雇用保険料ですが、現在は64歳以上の高年齢被保険者は保険料の支払いを免除されています。つまり、64歳以上の高年齢被保険者に該当する人は保険料を支払わなくても雇用保険をもらえる権利があるんです。
しかし、令和2年度から64歳以上の労働者も雇用保険料を負担しなければならないことになります。
いつから支払わなければならないの?
「令和2年度から」となっています。
給料から天引きされる個人負担分は「令和2年4月分の給料から」ということになると思います。
会社は令和2年度概算保険料から64歳以上の労働者の見込み賃金も含めた金額で申告する必要があります。
いくらくらい支払わなければいけないの?
雇用保険料の金額は「給料の金額」と「会社の事業内容」によって計算します。
平成31年度(令和元年度)の雇用保険料率を見てみましょう。このうち、会社負担と個人負担の割合はこのようになっています。
雇用保険料率 | 会社負担割合 | 個人負担割合 | |
一般の事業 | 9 | 6 | 3 |
農林水産・清酒製造の事業 | 11 | 7 | 4 |
建設の事業 | 12 | 8 | 4 |
(単位 1/1000)
例を見ながら雇用保険料の計算をしてみましょう。
【例1】一般の事業で、月に20万円の給料をもらっている人
20万円×3/1000=600円
毎月の個人負担分は600円になります。
【例2】建設の事業で、月に30万円の給料をもらっている人
30万円×4/1000=1,200円
毎月の個人負担分は1,200円になります。
雇用保険料は、健康保険などの社会保険料ほど大きな金額ではありませんが、毎月給料から天引きされることになると大きな出費に違いはありません。
なんで?これって改悪じゃないの?
あくまで私個人の見解ですが、高齢化社会に伴い今後も高齢者人口が増え続けていくこと、高齢になっても働くことが一般的になってきていることなどが影響しているのではと思います。
実際、厚生労働省が発表している平成30年度の雇用保険の統計を見ても、一般求職者給付は前年度よりも少し減っているのに対し、高年齢求職者給付の給付額は前年度の17.9%増になっています。
雇用保険は景気の動向などにも影響を受けやすいため、今までも雇用保険料率は大きく変動しています。ときには年度途中で雇用保険の積立金が枯渇する恐れがあることから雇用保険料が追加徴収されたときもありました(平成14年度)。
そういったことを考えれば、今回の制度改正も致し方無いのかなとも思えます。
雇用保険についてもう少し教えて!
雇用保険をかけなければならない人はこのようになっています。
- 31日以上引き続き雇用されることが見込まれる人
- 1週間の所定労働時間が20時間以上
雇用保険については以下の記事も参考にしてください。