下でくわしくお話するよ!
お葬式(葬祭料・葬祭給付)も労災保険から支給される
仕事中の事故や通勤途中の事故などにより、不幸にも亡くなってしまった場合、遺族に対し労災保険から遺族(補償)給付が支給されますが、それと同時に遺族などが葬儀をおこなったときは労災保険から葬祭料・葬祭給付が支給対象となります。
葬祭料・葬祭給付の支給額はいくら?
労災保険の葬祭料・葬祭給付は、葬儀費用として支出した費用(実費)が支給されるのではなく、次の計算方法により算定された額が給付されることとなっています。
- 給付基礎日額 × 30日分 + 315,000円
- 給付基礎日額 × 60日分
※上記1と2のいずれか高い方の金額が支給されます。
「給付基礎日額」とは、亡くなる原因になった災害の前に、その人がもらっていた賃金から計算された「1日あたりの単価」のことです。
たとえば、月に30万円の給料をもらっていた人であれば、給付基礎日額はおおよそ「1万円」になりますので、
- 10,000円×30日分+315,000円=615,000円
- 10,000円×60日分=600,000円
となり、どちらか高い方が支給されることになりますので、労災保険の葬祭料としての支給額は、「615,000円」となります。
葬祭料は誰に支給されるのか
葬祭料・葬祭給付は誰に対して支給されるのでしょうか。
基本的には葬儀を執行した人に対して支給されることになりますので、一般的には喪主の人になります。
ただし、葬儀を執り行うご遺族がいないなどの場合は、会社による「社葬」が行われる場合もあるかと思います。こういった場合は会社に対して支給されるようなケースもあるようです。
葬祭料を給付基礎日額から計算するのっておかしくないの?
労災保険は、仕事中にけがなどをしたことでその人が被った損害のてん補を目的としています。ですので、その人の収入から算出された給付基礎日額を休業(補償)給付や遺族(補償)給付に使用するのは理解できるところです。
しかし、葬祭料は、遺族が葬祭を行う費用を保険給付として支給するのが目的のものと思いますので、死亡労働者の稼ぎによって金額が変動するのはどうなのかと疑問に思われる人もおられると思います。実際、私がそうでした。
その辺のことについて少し調べてみましたが、原則として葬祭料の金額は上記1による「315,000円に給付基礎日額の30日分を加えた額」とされていて、これは葬祭にかかる費用には「最低限必要とされる共通的費用」のほか、「死亡労働者の稼得能力に応じた幅のある費用部分が含まれているのが通常」との考え方があり、定額部分と賃金比例部分とを組み合わせて算出することを原則としているためのようです。
労災の葬祭料は、実費支給ではなく、自動的に計算された金額が支給されます。
う〜ん、それにしても安い気が…
あるアンケート調査結果によりますと、実際に葬儀にかかる費用は全国平均で「200万円」ほどとのこと!
割と手厚い補償が受けられる労災保険ですが、この数字から考えたら、葬祭料については十分な額とは言えないかもしれないですね。