平均賃金・給付基礎日額ってなに?

Q休業補償や障害・遺族補償などが支給されるとき、給付基礎日額平均賃金)をもとに計算されると聞いたのですが、これらはどういうものなのでしょうか。

A労災保険は、けがや疾病による稼得能力の損失部分を補うことが主な目的ですので、その人がけがをする前にいくら稼いでいたのかが大きく関わってきます。
災害発生直前の収入をもとに計算された額(平均賃金)により、さまざまな現金給付がされる際のもとになる額(給付基礎日額)が決定され、この額により休業補償や障害・遺族補償給付の金額が計算されます。

平均賃金と給付基礎日額

労災保険から給付されるものは、ほとんど労働者の収入などに応じて算出された「給付基礎日額」をもとに計算されます。

これは、労災保険がその労働者が負傷したり病気にかかってしまったことによってその人がどれだけ損失が生じたのか、その部分を補填する目的のもの、いわゆる逸失利益的な考え方のもと給付される性格のものだからです。


たとえば、全く同じけがをした場合でも、月に30万円の給料をもらっていた人と月に10万円の給料をもらっていた人では、給付基礎日額が変わりますので、支給される金額に差が出るということです。


さて、平均賃金・給付基礎日額とは何かということですが、給付される際のもとになる「給付基礎日額」は基本的には労働基準法上の「平均賃金」がもとになって決められるものですので、先に平均賃金についてご説明したいと思います。


平均賃金とは?

平均賃金とは、けがをした場合でいいますと、その負傷の原因となった事故が発生した日の直前(賃金の締切日が決められている場合は、その日の直前の締切日)からさかのぼって3ヶ月間にその労働者に対して支払われた賃金の総額を、その期間の暦日数で割った1日あたりの賃金額のことをいいます。

通常は、「月末締めの翌月25日払い」など、賃金の締切日が定められている場合が多いと思いますので、けがをした日の直前の賃金締切日からさかのぼる3ヶ月間で平均賃金を計算することになります

※「月末締めの翌月25日払い」の「月末締め」の部分が賃金の締切日になります。
※賃金は「総支給額」ですので、通勤手当も含まれますし、社会保険や税金などが引かれる前の金額になります。


わかりやすく言いますと、平均賃金は休日なども含めた暦の日数で割った1日平均になりますので、1日あたりの日給額よりも安くなります

平均賃金を計算してみよう

実際に例を出して平均賃金を計算してみましょう。

  • 月給:30万円
  • 賃金支払:月末締めの翌月25日払い
  • 負傷日:12月15日


賃金の締切日が月末ですから、けがをした日の直前の締切日は「11月30日」になります。

平均賃金は、けがをした日の直前の賃金締切日からさかのぼる3ヶ月間で計算しますので、11月30日からさかのぼる3ヶ月間は「9月1日から11月30日」の期間になり、この間の暦日数は、9月→30日間、10月→31日間、11月→30日間で、合計「91日間」になります。

また、この3ヶ月間に支払われた賃金の総額は、「30万円×3ヶ月間」で「90万円」になります。

  • 3ヶ月の給料の合計 30万円 × 3ヶ月 = 90万円
  • 3ヶ月間の暦日数 9月→30日間、10月→31日間、11月→30日間 = 91日

平均賃金は、賃金の総額を暦日数で割ったものになりますので、計算してみると、

90万円 ÷ 91日 = 9,890.10989…

となります。


ここで、平均賃金の決まりごと!

  • 平均賃金は「円」の下の単位の「銭」まで出す。
  • 「銭」未満の端数は切り捨てる。


となっていますので、この場合の平均賃金は9,890円10銭になります。


なお、雇用期間が3ヶ月間に満たないなど、平均賃金をうまく計算できない場合があります。そのようなケースの場合は、下のページも参考にしてみてください。

管理人
管理人

【平均賃金のまとめ】

平均賃金は、賃金の総額を暦日数で割ったもの!
「銭」単位まで出す!

給付基礎日額とは?

つづいて「給付基礎日額」についてですが、「給付基礎日額」は、原則「平均賃金」に相当する額となっていますので、基本的には難しくありません。


ただ1つ、一般的に給付基礎日額は、円未満の端数は切り上げて円単位にするということになっていますので、上記の例(平均賃金9,890円10銭)の場合の給付基礎日額は、9,891円になります。


休業補償などが給付されるときには、この「9,891円」という金額をもとに計算されることになります。


給付基礎日額算定の特例措置について

「給付基礎日額」は、原則「平均賃金」に相当する額とご説明しましたが、この「原則」に当てはまらないこともあります。

それは、労災保険法では「平均賃金に相当する額を給付基礎日額とすることが適当でないと認められるときは、厚生労働省令で定めるところによって所轄労働基準監督署長が算定する額を給付基礎日額とする」とされているからです。


たとえば、平均賃金の金額がとても少なく、最低保障額に満たないような場合は最低保障額まで給付基礎日額が引き上げられて支給されますし、反対に年齢階層別の最高限度額に引っかかってしまい限度額まで下げられて支給されるような場合もあります。

また、給付基礎日額には一定の期間ごとの賃金水準の変動に応じて額が改定されるスライド制というものがあり、この適用になれば、金額が上がったり下がったりする場合もあります。

給付基礎日額が上下する例

給付基礎日額算定の特例措置となる例としては、以下のような場合があります。

  • 平均賃金を計算したら「2,366円13銭」にしかならなかったが、最低保障額「3,940円(平成31年3月現在)」に満たないため、「3,940円」まで引き上げられて休業補償が計算された
  • 今まで給付基礎日額「14,876円」で給付を受けていたが、年齢が70歳になったため年齢階層別の最高限度額に引っかかり、「13,264円(平成31年3月現在)」に引き下げられて計算されるようになった
管理人
管理人

【給付基礎日額】のまとめ

「平均賃金」はその負傷や疾病について一度決定されたらその後は変わることは基本的にないけど、「給付基礎日額」は給付されるときの基礎となるものだから、上がったり下がったりすることがあるということですね!

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