下でくわしくお話するよ!
特定作業従事者の特別加入制度
労災保険は、事業に雇用されている労働者のための保険ですので、通常、自営で事業を行なっていたり、家族だけでやっているような人、たとえば、農家の人などは労災保険の保護の対象にはなりません。
ところが、そのような人でも労災保険に定められている特定の作業に従事している人は特別に労災保険に加入できるという制度があります。これを「特別加入制度」といっています。
特別加入制度には4つの種類があります。
この4つの特別加入のうち、このページでは自営農業者等の特定作業従事者の特別加入の概要について説明していきます。
特定作業従事者の特別加入ができる人とは?
特定作業従事者の特別加入ができる人は、次のとおり、特に危険有害な作業に従事する自営農業者などです。
(1)特定農作業従事者
年間農業生産物総販売額が300万円以上または経営耕地面積が2ヘクタール以上の農業等の事業で、次のいずれかの作業に従事する人です。
- 動力により駆動される機械を使用して行う耕作等作業
- 高さ2メートル以上の箇所における作業
- 酸素欠乏危険場所における耕作等作業
- 農薬散布の作業
- 牛・馬・豚に接触し又はそのおそれのある作業
(2)指定農業機械作業従事者
重度の傷害を起こす危険度が高いと認められる種類の農業機械を使用する人で、農業における土地の耕作もしくは開墾又は植物の栽培もしくは採取の作業に従事する人が対象です。
「重度の傷害を起こす危険度が高いと認められる種類の農業機械」とは次のとおりです。
- 動力耕うん機その他の農業用トラクター
- 動力溝堀機
- 自走式田植機
- 自走式スピードスプレーヤーその他の自走式防除用機械
- 自走式動力刈取機、コンバインその他の自走式収穫用機械
- トラックその他の自走式運搬用機械
- 動力揚げ水機
- 動力草刈機
- 動力カッター
- 動力摘採機
- 動力脱穀機
- 動力剪定機
- 動力剪枝機
- チェーンソー
- 単軌条式運搬機
- コンベヤー
(3)職場適応訓練従事者
(4)事業主団体等委託訓練従事者
(5)家内労働者及びその補助者
(6)労働組合等の常勤役員
(7)介護作業従事者
特定作業従事者の特別加入は圧倒的に(1)と(2)が多いようで、(3)〜(7)は時代の流れのせいか、加入者はそれほど多くはないようです。
特別加入の手続きをするには?
特定作業従事者が特別加入をする場合、特別加入をしようとする者が構成員となる団体に加盟することが必要になります。
農業であれば通常、各農協が団体をもっているところが多いと思いますので、加入の際は農協に問い合わせてみて下さい。
農家以外の場合は、労働局・労働基準監督署で各団体の名簿一覧などがあると思いますので、その中から選んで直接連絡してください。
その後の特別加入の手続きは、各団体を通して行うことになりますので、各団体にお問い合わせいただくかたちになります。
特別加入の保険料はいくらくらいかかる?
特別加入の保険料はいくらくらいかかるのでしょうか。
それは、選ぶ「給付基礎日額」と「特定作業の内容」によって変わってきます。
特別加入者の給付基礎日額
特別加入者は、賃金を受けて労働に従事しているわけではありませんので、特別加入者の収入を考慮して実態に近い給付基礎日額を3,500円から25,000円の範囲から選び、保険加入することになります。
この給付基礎日額は、支払う保険料を決定する基礎になりますし、休業補償などの給付を受けるときにもこれが基礎となり給付額が決定されることになります。
特別加入保険料を計算してみよう!
「特定農作業従事者」の方で、給付基礎日額が10,000円(年間の収入が365万円程度)の方の場合で計算してみましょう。
給付基礎日額 10,000円 × 365日 × 保険料率 9/1000 = 32,850円
この場合、32,850円が年間の保険料として支払わなければならない額になります
もちろん、選ぶ給付基礎日額や特定作業の内容によって特別加入の保険料は変わります。
なお、特定作業ごとの保険料率は、以下のページをご覧ください。
最後に、一般の雇用労働者に対する労災保険はいわゆる「強制保険」ですが、特別加入は「任意保険」になりますので、当然ですが加入していなければ補償されません。保険の効力は、申請をして承認を受けた日以降からになりますので、気をつけて下さい。