下でくわしくお話するよ!
通勤災害の事例〜いつもと違う方法・経路の場合
労災保険における通勤災害とは、このように定義されています。
「労働者が、就業に関し、住居と就業の場所との間を、合理的な経路及び方法により往復することをいい、業務の性質を有するものを除くものとする。労働者が往復の経路を逸脱し、又は往復を中断した場合においては、当該逸脱または中断の間及びその後の往復は、通勤としない。ただし、当該逸脱または中断が、日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合は、当該逸脱または中断の間を除き、この限りでない。」
本事例では、会社に届け出ている通常の方法や経路ではない「マイカーでの通勤」が、この中の「合理的な経路及び方法」に該当するか否かがポイントになると思います。
合理的な経路及び方法に該当するかがポイント!
会社の目の前に自宅があるなら別ですが、一般的に自宅から会社に行くまでの方法や経路はいくつか考えられるのが普通だと思います。「歩いて通う」「自転車で通う」「自動車で通う」「地下鉄で通う」「バスと電車を乗り継ぐ」など、通勤方法はいろいろ考えられると思いますし、その方法によって経路も変わります。
労災の通勤災害でいう「合理的な経路及び方法」とは、必ずしもそのうちの1つだけをいうのではなく、通勤のために労働者が一般的に用いるものと認められる方法や経路であれば、それが複数あったとしてもすべて「合理的な経路及び方法」になります。
したがって、本事例のようにマイカーによる通勤が会社に届けている方法と違うからという理由だけをもって、直ちにそれが通勤災害に該当しないということにはなりません。届出と違った方法で通勤していたとしても、あくまでその合理性が認められるか認められないかで通勤災害に該当するかしないかが決定されることになります。
もちろん、帰りに友達の家に行くためや買い物に行くなどの理由によりマイカーで通勤し、会社からの帰りに逸脱・中断行為があったとなれば、当然、その後は通勤災害とは認められないということになりますので、そのあたりの原理原則はほかの通勤災害の場合と変わりはありません。