下でくわしくお話するよ!
通勤災害の事例〜自宅車庫内におけるけが
労災の通勤災害における「通勤」とは、住居と就業の場所との間を合理的な経路および方法により往復することをいいます。
では、この「通勤」とは、どこからどこまでのことをいうのでしょうか?
通勤災害について事例をあげて説明してみたいと思います。
通勤の始点と終点がどこかが問題!
本記事の通勤災害の事例は、「出勤時に自宅の車庫内でけがをした場合に通勤災害に認定されるかどうか」というものです。
今回の事例のポイントは、この「住居」と「就業の場所」それぞれの始点・終点の境目がどこにあるのかということになります。
普通は、朝起きて、顔を洗ったり、ご飯を食べたり、仕事の用意や準備をしたりして自宅を出発するニャ〜。確かにどこからが「通勤」になるのか、わからないニャ〜…
結論をいいますと、労災保険の通勤災害における「通勤」の始点・終点については、「一般公衆が自由に通行できるかどうか」が大きな判断のポイントになっています。
「一軒家」の場合、車庫やカーポートは自宅敷地内に設置されているのが通常だと思います。一軒家だと、一般人は自由に敷地内に入れませんので、「自宅敷地と公道の境界」が通勤の始点となり、自宅の敷地を出た直後から通勤がスタートすることになると考えられます。
したがって、一軒家敷地内の車庫内でけがをした本事例では、通勤前の負傷と考えられることから、業務外と判断される可能性が高いと思われます。
アパートやマンションの場合は?
住居が一軒家ではなくマンションやアパートの場合はどうでしょうか。
マンションやアパートの共用部分の通路は、住人はもちろんですが一般の人も通ることは可能です。したがって、「一般公衆が自由に通行できるかどうか」ということからいけば、自室のドアが通勤の始点と考えられ、共用通路に出た時点から通勤災害の対象となります。ですから、アパートやマンションの共用階段部分はもちろん、駐車場内での転倒なども通勤災害になります。
オートロック式のマンションはどうでしょうか。オートロック式の場合、外部の人が入る際にはオートロックの解除が必要になることから、オートロック式ではないマンションに比べて制約はありますが、共用の通路に入ってしまえば自由に通行できるわけですから、同様に考えられているようです。
通勤災害の終点は?
「自宅」から「就業の場所」に向かうときの「自宅」について説明してきました。
「就業の場所」についても同様の考え方で、会社の敷地内に入った時点で通勤は終了という考え方になります。
たとえば、出勤の際に会社の敷地内に入った後に転倒して負傷してしまった事例では、会社の敷地の境目をまたいだ時点で通勤が終了して事業主の管理下に入った後の災害と考えられますので、通勤災害ではなく業務災害に該当すると考えられます。
本事例のポイントは、「通勤はどこからどこまでか」です。
通勤災害になるかどうかは、「一般公衆が自由に通行できるかどうか」が大きな目安になっています。
コメント
健康保険から労災に切り替えをする際の様式16号3(通勤途上災害です)の記入例を知りたいです。
>でんでんさん
コメントありがとうございます。
健康保険から切り替え方法→こちら
記入例→こちらとこちら
を参考になさってみてください。