平均賃金・給付基礎日額の計算あれこれ②

質問

負傷前3ヶ月間に支払われた賃金から平均賃金や給付基礎日額が計算されるというのはわかりましたが、雇い入れからけがをするまでの期間が3ヶ月間ない場合はどのように計算されるのでしょうか。

答え

雇い入れからけがをするまでの期間が3ヶ月間ない場合の平均賃金の算定方法について具体例をあげながらご説明いたします。

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下でくわしくお話するよ!

平均賃金・給付基礎日額とは

給付基礎日額と平均賃金2

平均賃金とは、けがをした日の直前(賃金の締切日が決められている場合は、その日の直前の締切日)からさかのぼって3ヶ月間にその労働者に対して支払われた賃金の総額を、その期間の暦日数で割った1日あたりの賃金額のことをいいます。

給付基礎日額とは、実際に休業補償などが給付されるときに平均賃金をもとに決められた1日あたりの給付金額のことをいいます。

しかし、雇い入れから短期間の間にけがをしてしまい、平均賃金の算定期間である3ヶ月間が物理的に取れない場合があります。

この場合の平均賃金の算出方法についてご説明いたします。

具体例① 平均賃金の算定期間が3ヶ月ある場合(通常の平均賃金の計算)

まずは、原則どおりの平均賃金の計算からです。

  • 雇入年月日: 4月1日
  • 負傷年月日: 7月21日
  • 賃金締切日: 月末
  • 月給: 30万円

この場合、けがをした日の直前の賃金締切日は「6月30日」になります。

そこからさかのぼる3ヶ月間での計算になりますので、平均賃金の算定期間・計算はこのようになります。

算定期間

  • 4月1日〜4月30日
  • 5月1日〜5月31日
  • 6月1日〜6月30日

平均賃金の計算

90万円÷91日=9,890円10銭

負傷前の3ヶ月間のトータル賃金を、3ヶ月間の暦日数で割って算出します。

具体例② 平均賃金の算定期間が3ヶ月ないけど、1賃金算定期間以上ある場合

上記のように、平均賃金の算定期間として3ヶ月間はとれないけど、1算定期間以上の期間がある場合の計算方法です。「1算定期間」とは、賃金締切日を基準とした「1ヶ月間」のことです。

  • 雇入年月日: 4月1日
  • 負傷年月日: 5月21日
  • 賃金締切日: 月末
  • 月給: 30万円

この場合、けがをした日の直前の賃金締切日は「4月30日」になります。

通常、そこからさかのぼる3ヶ月間での計算になりますが、物理的に3ヶ月ありません。

ですが、「4月30日」からできるだけさかのぼると、「4月1日〜4月30日」と1賃金算定期間ありますので、この場合の平均賃金の計算はその算定期間での計算になります。

算定期間

  • 4月1日〜4月30日のみ

平均賃金の計算

30万円÷30日=10,000円00銭

物理的に平均賃金の算定期間が3ヶ月間とれなくても、1賃金算定期間あるのであれば、直前の賃金締切日からさかのぼれるだけさかのぼった期間での算定になります

たとえば、上記の例で、負傷年月日が「6月20日」だとしますと、算定期間は「4月1日〜4月30日、5月1日〜5月31日」となり、平均賃金の計算は『60万円÷61日=9,836円06銭』になります。

※「1賃金算定期間」とは、賃金の締切日が月末であれば「1日〜月末」、賃金の締切日が20日であれば「21日〜翌月20日」のように、1ヶ月の賃金を算定するための期間をいいます。

具体例③ 平均賃金の算定期間が3ヶ月なく、1賃金算定期間もない場合

平均賃金の算定期間として3ヶ月間もないし、1算定期間もない場合の計算方法です。「1算定期間」とは、賃金締切日を基準とした「1ヶ月間」のことです。

  • 雇入年月日: 4月11日
  • 負傷年月日: 5月21日
  • 賃金締切日: 月末
  • 月給: 30万円

この場合、けがをした日の直前の賃金締切日は「4月30日」になります。

通常、そこからさかのぼる3ヶ月間での計算になりますが、物理的に3ヶ月ありません。

さらに、「4月30日」からできるだけさかのぼったとしても「4月11日〜4月30日」となり、1賃金算定期間もありません。

この場合の平均賃金の算定期間・計算は、さらに負傷日の前日までの期間をプラスして計算することなります。

算定期間

  • 4月11日〜4月30日
  • 5月1日〜5月20日(負傷日の前日)

平均賃金の計算

「4月11日〜4月30日」の賃金額が「20万円」「5月1日〜5月20日」の賃金額が「20万円」として計算します。

40万円÷40日=10,000円00銭

物理的に平均賃金の算定期間が3ヶ月間取れない、かつ、1賃金算定期間もない場合は、雇入年月日から負傷日前日までの期間での算定になります。

※「1賃金算定期間」とは、賃金の締切日が月末であれば「1日〜月末」、賃金の締切日が20日であれば「21日〜翌月20日」のように、1ヶ月の賃金を算定するための期間をいいます。

管理人

平均賃金の算定期間が通常どおりに3ヶ月間とれない場合の計算方法についてご説明してきましたが、ポイントさえ押さえれば実は簡単なことですので、ぜひ覚えてくださいね!

コメント

  1. さと より:

    こんにちは。
    大変参考にさせて頂いております。
    6/14~雇用、7/15事故発生。
    賃金締切は20日です。

    この場合も、雇入年月日から負傷日前日までの期間での算定で宜しいでしょうか?ご教示願います。

  2. HANA より:

    >さとさん
    コメントありがとうございます。

    はい。本文中の「具体例③」のパターンかと思います。
    算定期間は、
    ・6/14〜6/20
    ・6/21〜7/14
    になります。

  3. さと より:

    コメント下さり、ありがとうございました。
    大変助かりました。またよろしくお願いいたします!(^^)!

  4. キオ より:

    いつも大変参考にさせていただいております。
    1/13雇用、2/23災害発生となりました。賃金締切日は月末です。
    この場合の算定期間は、
    ・1/13~1/31
    ・2/1~2/22 という認識でよろしいでしょうか?

    また、給与は時間給ですが、通勤手当は月額固定となり、1月・2月分の給与はすべて同額の通勤手当を支給しています。
    この場合、通勤手当は支給した金額をそのままA欄へ記入してよろしいでしょうか?
    ご教示願います。

  5. HANA より:

    >キオさん
    コメントありがとうございます。

    ・算定期間
    そのとおりになります。具体例③と同様ですね。
    ・通勤手当
    はい、そのままA欄へ記入して構いません。
    ただし、平均賃金の計算の際には、「月額固定で減額されないもの」と「そうじゃないもの」とに分けて計算することになります。
    キオさんの例でいきますと、「通勤手当のみを別で計算」し、「通勤手当以外で計算したもの」と合算したものが平均賃金になります(書き方は2段書きのようなイメージになります)。
    通勤手当の部分の計算方法は「月額÷30」になります。

  6. キオ より:

    HANA様

    ご対応いただきありがとうございます。
    1点、通勤手当につきまして、「月額÷30」と記載されてますが、
    総日数が41日のため「2か月分の通勤手当(固定額)÷41」ではないのでしょうか?

    お手数おかけしますが、再度ご教示ください。

  7. HANA より:

    >キオさん
    通常のケースですとキオさんのおっしゃるとおりになるのですが、今回の通勤手当のように日数によって減額されないものが含まれている場合は、そのまま計算してしまいますと本来の平均賃金よりも高くなってしまうことになります。

    仮に通勤手当が1月3,000円だとしまして、通常どおり3ヶ月で計算した場合、9,000円÷90日=100円になります(この金額が本来の平均賃金)。
    ご質問のように計算した場合、6,000円÷41=146円になり、本来の平均賃金とかけ離れてしまうことになります。

    ですので、このような場合は平均賃金計算の特例が設けられており、本来の平均賃金に近づくように計算されることになっています。もちろん反対になるケースもあり、不当に低くなるようなときには高くなるようにすることもあります。

    ※本当は記事にできれば良いと思うのですが、細かいのを入れると他にもたくさん特例があるので書ききれないんです。すいません。。

  8. キオ より:

    HANA様

    日数が少ないことで本来の平均賃金とかけ離れてしまうことは盲点でした。
    大変勉強になりました。
    ありがとうございます。

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