下でくわしくお話するよ!
平均賃金・給付基礎日額とは
平均賃金とは、けがをした日の直前(賃金の締切日が決められている場合は、その日の直前の締切日)からさかのぼって3ヶ月間にその労働者に対して支払われた賃金の総額を、その期間の暦日数で割った1日あたりの賃金額のことをいいます。
給付基礎日額とは、実際に休業補償などが給付されるときに平均賃金をもとに決められた1日あたりの給付金額のことをいいます。
しかし、雇い入れから短期間の間にけがをしてしまい、平均賃金の算定期間である3ヶ月間が物理的に取れない場合があります。
この場合の平均賃金の算出方法についてご説明いたします。
具体例① 平均賃金の算定期間が3ヶ月ある場合(通常の平均賃金の計算)
まずは、原則どおりの平均賃金の計算からです。
- 雇入年月日: 4月1日
- 負傷年月日: 7月21日
- 賃金締切日: 月末
- 月給: 30万円
この場合、けがをした日の直前の賃金締切日は「6月30日」になります。
そこからさかのぼる3ヶ月間での計算になりますので、平均賃金の算定期間・計算はこのようになります。
算定期間
- 4月1日〜4月30日
- 5月1日〜5月31日
- 6月1日〜6月30日
平均賃金の計算
90万円÷91日=9,890円10銭
負傷前の3ヶ月間のトータル賃金を、3ヶ月間の暦日数で割って算出します。
具体例② 平均賃金の算定期間が3ヶ月ないけど、1賃金算定期間以上ある場合
上記のように、平均賃金の算定期間として3ヶ月間はとれないけど、1算定期間以上の期間がある場合の計算方法です。「1算定期間」とは、賃金締切日を基準とした「1ヶ月間」のことです。
- 雇入年月日: 4月1日
- 負傷年月日: 5月21日
- 賃金締切日: 月末
- 月給: 30万円
この場合、けがをした日の直前の賃金締切日は「4月30日」になります。
通常、そこからさかのぼる3ヶ月間での計算になりますが、物理的に3ヶ月ありません。
ですが、「4月30日」からできるだけさかのぼると、「4月1日〜4月30日」と1賃金算定期間ありますので、この場合の平均賃金の計算はその算定期間での計算になります。
算定期間
- 4月1日〜4月30日のみ
平均賃金の計算
30万円÷30日=10,000円00銭
物理的に平均賃金の算定期間が3ヶ月間とれなくても、1賃金算定期間あるのであれば、直前の賃金締切日からさかのぼれるだけさかのぼった期間での算定になります。
たとえば、上記の例で、負傷年月日が「6月20日」だとしますと、算定期間は「4月1日〜4月30日、5月1日〜5月31日」となり、平均賃金の計算は『60万円÷61日=9,836円06銭』になります。
※「1賃金算定期間」とは、賃金の締切日が月末であれば「1日〜月末」、賃金の締切日が20日であれば「21日〜翌月20日」のように、1ヶ月の賃金を算定するための期間をいいます。
具体例③ 平均賃金の算定期間が3ヶ月なく、1賃金算定期間もない場合
平均賃金の算定期間として3ヶ月間もないし、1算定期間もない場合の計算方法です。「1算定期間」とは、賃金締切日を基準とした「1ヶ月間」のことです。
- 雇入年月日: 4月11日
- 負傷年月日: 5月21日
- 賃金締切日: 月末
- 月給: 30万円
この場合、けがをした日の直前の賃金締切日は「4月30日」になります。
通常、そこからさかのぼる3ヶ月間での計算になりますが、物理的に3ヶ月ありません。
さらに、「4月30日」からできるだけさかのぼったとしても「4月11日〜4月30日」となり、1賃金算定期間もありません。
この場合の平均賃金の算定期間・計算は、さらに負傷日の前日までの期間をプラスして計算することなります。
算定期間
- 4月11日〜4月30日
- 5月1日〜5月20日(負傷日の前日)
平均賃金の計算
「4月11日〜4月30日」の賃金額が「20万円」「5月1日〜5月20日」の賃金額が「20万円」として計算します。
40万円÷40日=10,000円00銭
物理的に平均賃金の算定期間が3ヶ月間取れない、かつ、1賃金算定期間もない場合は、雇入年月日から負傷日前日までの期間での算定になります。
※「1賃金算定期間」とは、賃金の締切日が月末であれば「1日〜月末」、賃金の締切日が20日であれば「21日〜翌月20日」のように、1ヶ月の賃金を算定するための期間をいいます。
平均賃金の算定期間が通常どおりに3ヶ月間とれない場合の計算方法についてご説明してきましたが、ポイントさえ押さえれば実は簡単なことですので、ぜひ覚えてくださいね!
コメント
こんにちは。
大変参考にさせて頂いております。
6/14~雇用、7/15事故発生。
賃金締切は20日です。
この場合も、雇入年月日から負傷日前日までの期間での算定で宜しいでしょうか?ご教示願います。
>さとさん
コメントありがとうございます。
はい。本文中の「具体例③」のパターンかと思います。
算定期間は、
・6/14〜6/20
・6/21〜7/14
になります。
コメント下さり、ありがとうございました。
大変助かりました。またよろしくお願いいたします!(^^)!
いつも大変参考にさせていただいております。
1/13雇用、2/23災害発生となりました。賃金締切日は月末です。
この場合の算定期間は、
・1/13~1/31
・2/1~2/22 という認識でよろしいでしょうか?
また、給与は時間給ですが、通勤手当は月額固定となり、1月・2月分の給与はすべて同額の通勤手当を支給しています。
この場合、通勤手当は支給した金額をそのままA欄へ記入してよろしいでしょうか?
ご教示願います。
>キオさん
コメントありがとうございます。
・算定期間
そのとおりになります。具体例③と同様ですね。
・通勤手当
はい、そのままA欄へ記入して構いません。
ただし、平均賃金の計算の際には、「月額固定で減額されないもの」と「そうじゃないもの」とに分けて計算することになります。
キオさんの例でいきますと、「通勤手当のみを別で計算」し、「通勤手当以外で計算したもの」と合算したものが平均賃金になります(書き方は2段書きのようなイメージになります)。
通勤手当の部分の計算方法は「月額÷30」になります。
HANA様
ご対応いただきありがとうございます。
1点、通勤手当につきまして、「月額÷30」と記載されてますが、
総日数が41日のため「2か月分の通勤手当(固定額)÷41」ではないのでしょうか?
お手数おかけしますが、再度ご教示ください。
>キオさん
通常のケースですとキオさんのおっしゃるとおりになるのですが、今回の通勤手当のように日数によって減額されないものが含まれている場合は、そのまま計算してしまいますと本来の平均賃金よりも高くなってしまうことになります。
仮に通勤手当が1月3,000円だとしまして、通常どおり3ヶ月で計算した場合、9,000円÷90日=100円になります(この金額が本来の平均賃金)。
ご質問のように計算した場合、6,000円÷41=146円になり、本来の平均賃金とかけ離れてしまうことになります。
ですので、このような場合は平均賃金計算の特例が設けられており、本来の平均賃金に近づくように計算されることになっています。もちろん反対になるケースもあり、不当に低くなるようなときには高くなるようにすることもあります。
※本当は記事にできれば良いと思うのですが、細かいのを入れると他にもたくさん特例があるので書ききれないんです。すいません。。
HANA様
日数が少ないことで本来の平均賃金とかけ離れてしまうことは盲点でした。
大変勉強になりました。
ありがとうございます。
はじめまして。
休業補償の金額についてご質問させて頂きます。
契約社員で入社して4日目で事故にあいました。
その間、3日出勤致しましたが、研修の為、最低賃金の時間支給と言われています。
本来の契約金額と違うのですが、この場合は3日間の金額で計算されるのでしょうか?
入社して間もなく、会社から自分で手続きしてと言われ困っていた時に、YouTube動画見させて頂きました。
自分で書類を作成しようと思っていたところ、本日(事故から17日目)に書類が届きましたけどw
動画、ホームページ等
本当に助かりました。
ありがとうございます。
私の場合の休業補償の金額はどうなるのか不明で質問させて頂きました。
お返事頂けたら幸いです。
よろしくお願い致します。
>中西 仁美さん
コメントありがとうございます。
試用期間中の事故ということでお話しをしますと、通常、平均賃金の計算期間の3ヶ月に試用期間が含まれる場合はその分を除いて計算するのですが、試用期間中の事故の場合は通常どおりその間の賃金で計算することになります。
>3日間の金額で計算されるのでしょうか?
連続勤務4日目での事故の場合(その間1日も休みがない場合)は、通常の方法での計算ができませんので、賃金台帳や出勤簿や雇用契約書等の写しを提出し労基署で平均賃金を決定することになると思います。ちなみに金額ですが、3日間の合計賃金を3で割って、それに7分の6をかけた金額が一般的になります。(こちらの「算定期間が2週間未満で、満稼働の場合」のケースになります)
HANAさん
お返事ありがとうございます。
研修期間の金額と、契約金額の金額が倍近い差があり、少し悲しい気持ちなってしまいました。
先に分かって良かったです。
丁寧な説明をして頂いて
ありがとうございました。
はじめまして。
昨年の10月13日に通勤災害にあったのですが、雇い入れ日が10月1日だった場合の賃金算定方法がいまいちわかりませんので例で教えていだだければ幸いです。締め日は15日になります。
>レイさん
コメントありがとうございます。
10月1日から12日までの期間で計算することになりますが、その間、休日があったかどうかで計算が変わります。
【1日でも休日があった場合】
単純に12日間の総賃金を12で割って計算します。
【1日も休日がなかった場合】
こちらのページの「算定期間が2週間未満で、満稼働の場合の平均賃金」を参考になさってみてください。
返信ありがとうございます。
療養給付については手続きしていたみたいですが、休業給付も申請できるのは存じておらず、転院先の整形外科ではじめて聞きました。現在遠方の会社を退職してしまって、初めて申請しようと思っているのですが、その場合は事業主の証明等、平均賃金の算出は必要なのでしょうか?実は退職代行をつかって退職してまして連絡はとれない状況です。
>レイさん
事業主の証明も平均賃金の算出も必要になります。どうしても難しいという状況でしたら、管轄の労基署に相談してみてはいかがでしょうか。もしかしたら間に入ったりしてもらえる可能性もあるかもしれません。
ありがとうございます。
労基に相談してみます。
いつも大変参考にさせていただいております。
賃金計算期間について、給与締め日が変更になった場合の記入方法を教えていただきたいです。
賃金計算期間に該当する月が締め日変更月で、
賃金計算期間「1日~10日のみ」なのです。(固定給3分の1支給)
問題ないでしょうか。。
>ふうさん
コメントありがとうございます。
具体的な日付がわかりませんが、そのような場合は基本的に「3ヶ月に一番近い期間」を算定期間として計算することになります。
こちらのご質問に対する回答を参考にしてみてください。
ご返答ありがとうございます。
他の方の質問も確認いたしました。ありがとうございます。
災害発生日→2024/1/29
締め日変更月→12月
変更前→末日締め
変更後→10日締め
賃金算定期間は11/1~11/30・12/1~12/10・12/11~1/10の71日間です。
「3ヶ月に一番近い期間」ということであれば、
10月分までさかのぼって記載するという解釈でよろしいでしょうか。
>ふうさん
はい、そのとおりです。
10/1〜1/10ですと102日間となりますので、こちらの方が近くなりますね。
記入欄が足りなくなりますので、臨機応変に付け足すなり、反対に分割するなどして記入して差し支えないと思います。
大変よく分かりました。
とても助かりました。ありがとうございます♀️