
こんにちは!『労災保険!一問一答』のHANAです。
労災の8号様式(休業補償給付支給請求書)の記入例と書き方についてお話していきます。この記事を読んでわからないところがあればコメント欄に書き込んでくださいね。
まだ8号様式を持っていない人は、労災保険の請求書(申請書)様式・書類はどこからもらうの?を参考にして用紙を入手してください。
お近くの労働局・労働基準監督署でもらうか、厚生労働省のホームページからダウンロードして印刷して使用することができます。
なお、通勤災害の場合に使用する16号の6様式についても、この記事であわせて説明していきます。(通勤途中のけがには、8号様式ではなく、16号の6様式を使います)
下でくわしくお話するよ!
労災8号様式(休業補償)の記入例と書き方
労災8号様式の記入例と書き方について項目順に解説します。少し長くなると思いますが、できるだけ様式の上から順番に説明していきますので、スクロールしてわからないところだけ見てもらってもいいと思います。
※複数事業労働者に対しての労災保険給付が改正された令和2年9月1日現在の様式を使用しています。お手元の用紙の入手時期などによって項目番号がずれるなどの場合がありますが、該当の項目名で見ていただければ問題ありません。古い用紙でも受け付けてもらえます。
8号様式(休業補償)表面

①管轄局署、③新継再別、④受付年月日、⑧業通別、⑨三者コード、⑩日雇コード、⑪特別加入者、⑬日数査定、⑭特支コード、⑮委任未支給、⑯特別コード、⑰平均賃金、⑱特別給与の額の欄は記入する必要はありません。
②労働保険番号
会社や事業ごとに振り出されている14けたの番号になります。
不明な場合は、会社に記入してもらうか、会社に確認して記入するのが良いと思います。
労働保険番号の詳細については、下の記事をご覧ください。
※労働保険番号は雇用保険適用事業所番号とは違うものですのでご注意ください。
⑤性別
けがをした本人の性別を番号で記入します。
男性は「1」、女性は「3」と記入します。
⑥労働者の生年月日
けがをした本人の生年月日を、元号を含めた7けたで記入します。
元号は、明治は「1」、大正は「3」、昭和は「5」、平成は「7」、令和は「9」になります。
【記入例】
昭和62年8月27日生まれ→「5620827」
平成3年10月8日生まれ→「7031008」
⑦負傷又は発病年月日
けがをした日付を7けたで記入します。
元号と記入例は、上記の「⑥労働者の生年月日」と同様です。
なお、上肢障害・精神障害・脳心臓疾患・振動障害・じん肺などは、発病年月日が不明な場合が多いと思います。そのような場合は、とりあえず初めて病院を受診した日を記入することをおすすめします。正式な発病年月日は、後日、労働基準監督署の調査により決定されます。
⑫労働者の氏名・住所
けがをした本人の氏名・郵便番号・住所を記入します。
シメイ(カタカナ)欄については、「姓と名の間は1文字あける」「濁点・半濁点は1文字として記入」することになっています。
【記入例】
渡辺五郎(ワタナベゴロウ)さんの場合

⑲療養のため労働できなかった期間
仕事中のけがなどによる療養のために働くことができなかった期間(=休業補償を請求する期間)をいつから−いつまでというように記入します。
日付の記入方法については、上記の⑥労働者の生年月日の記入例を参考にしてください。
休業補償請求期間の「初日」について

休業初日から3日間は「待期期間」といって休業補償はされないことになっていますが、休業補償請求期間には「待期期間の3日間」を含んだ期間を記入します。
待期期間の初日は、「負傷日に所定労働時間の一部を休業したかどうか」や「病院の初診日」などによって変わってきます。
休業期間の初日のとり方については、当サイトでくわしく説明していますのでご覧ください。
休業補償請求期間の「末日」について

休業補償は「これだけ休みましたので請求します」というものです。実際に休んだ日数を申請するものですので、見込みでの請求はできないことに注意してください。
休業期間が短期間の見込みなら休業が終わってから一度にまとめて請求すれば良いと思いますが、休業期間が長期間になる見込みならそうはいきません。その期間、収入がなくなってしまうわけですから。
そうならないように、休業が数ヶ月間など長期になる見込みの場合は1ヶ月ごとに区切って請求するのが一般的になっています。
どこで区切るかなどのことは決められたものはありませんので、「月末」とか「給料の締切日」で区切るなど、休業補償請求期間の「末日」については自由に決めてかまいません。
「月末」で区切りたい場合、新しい月になればその前の月分を申請することができます。
【例】
9月になれば8月分を請求できるので…
「末日」を「令和元年8月31日(9010831)」と記入して、9月になってから申請する
休業請求期間については、以下の記事も参考にしてみてください。
休業補償ってどんなときにもらえるの?
休業補償はいつまでの期間もらえるの?上限はあるの?
休業補償って退職した後ももらえるの?
⑳賃金を受けなかった日の日数

療養のために労働することができなかった期間のうち、賃金を受けなかった日の日数を記入します。
たとえば、休んでいても有給休暇を取ったのなら賃金を受けたことになるので、日数から除かなければなりません。(待期期間を除きます)
【記入例】

3月25日の所定労働時間内にけがをしてすぐに病院を受診。
その後、4月30日まで休業した場合を例に考えてみましょう。
1.待期期間の初日
3月25日は一部休業があり病院に初診していますので、初日は「3月25日」となり、待期期間は「3月25日〜3月27日」の3日間になります。
2.休業期間中、一切賃金の支給がない場合
休業請求期間と日数は、「3月25日〜4月30日」までの37日間のうち「37日間」になります。
3.3月25日〜3月27日有休をとった場合
有休でも事業主は待期期間補償をしたことになりますので、休業請求期間と日数は、「3月25日〜4月30日」までの37日間のうち「37日間」になります。
4.4月1日〜4月3日有休をとった場合
待期期間以外の日で有休所得した場合は賃金を受けたことになりますので、休業請求期間と日数は3日分を除き、「3月25日〜4月30日」までの37日間のうち「34日間」になります。
5.月給で3月31日までは賃金が減額されずに支払われた場合
この場合も事業主は待期期間補償をしたことになります。それ以降の3月28日〜3月31日までの4日間は賃金を受けたことになりますので、休業請求期間と日数は4日分を除き、「3月25日〜4月30日」までの37日間のうち「33日間」になります。
6.4月26日〜4月30日まで様子見で午前中だけ出勤した場合
休業請求期間と日数は、「3月25日〜4月30日」までの37日間のうち「37日間」になりますが、一部就労した分の賃金は除かれて支給されることになります。※この場合、様式第8号(別紙2)の提出も必要になります。
振込を希望する金融機関の名称、口座名義人
休業補償を振り込んでもらいたい口座(金融機関名・支店名・口座の名義人の名前)を記入します。
㉓預金の種類
振込を希望する口座の「普通預金」「当座預金」の別を番号で記入します。
普通預金は「1」、当座預金は「3」と記入します。
㉔口座番号
金融機関の口座番号を左詰めで記入します。
通常の銀行は「7けた」ですが、ゆうちょ銀行の場合は記号「5けた」+番号「8けた」の「計13けた」になります。
㉕メイギニン(カタカナ)
口座名義人をカタカナで記入します。
記入要領は、⑫労働者の氏名・住所と同じです。
事業の名称、事業場の所在地、事業主の氏名
事業主の証明欄です。事業主は「労働者がけがをした日時」「休業期間、日数」「災害発生状況」「平均賃金の算定にかかる事項など」の証明をおこなうことになっています。
会社名・住所などのゴム印がある場合はゴム印でかまいません。
印鑑は「代表印」になります。
日付欄は、事業主証明をした日付を記入します。
なお、あらかじめ代理人を選任する旨の届け出を出している場合は、事業主ではなく代理人の氏名、印鑑でかまいません。

社長が証明してくれない場合はどうするの?
事業主に請求書の証明を拒否された場合は、下の記事も参考にしてみてください。
労働者の所属事業場の名称・所在地
けがをした人が直接所属している事業場や部署が、事業主証明欄の事業場とちがう場合に記入します。同じ場合は記入する必要はありません。
たとえば、別の場所にある支店や営業所、工場、建設事業の下請事業場などが該当します。
死傷病報告提出年月日
業務災害で休業が4日以上の見込みの場合は、労働基準監督署に「労働者死傷病報告(様式第23号)」を提出しなければならないことになっています。
その提出した日を記入します。
診療担当者の証明
休業補償を請求する場合、請求する期間について病院から「働けない状態だった」という医師の証明をもらう必要があります。
病院に依頼し、この欄に医師の証明をもらってから労働基準監督署に提出します。
※自分で記入したり訂正したりしてはいけません。
請求人の住所、氏名
けがをした本人の郵便番号、電話番号、住所、氏名を記入し、本人の印鑑を押します。
なお、けがをした本人が自筆で名前を記入した場合は、印鑑は押さなくてもいいことになっています。
労働基準監督署長欄は、管轄の労働基準監督署名を記入します。
日付は労働基準監督署に提出する日付を記入します。
その他
その他の項目、①管轄局署、③新継再別、④受付年月日、⑧業通別、⑨三者コード、⑩日雇コード、⑪特別加入者、⑬日数査定、⑭特支コード、⑮委任未支給、⑯特別コード、⑰平均賃金、⑱特別給与の額などの欄は記入する必要はありません。
8号様式(休業補償)裏面

㉜労働者の職種
けがをした本人の職種を記入します。
【記入例】現場作業員、一般事務員、自動車販売営業、鋳物工、一般貨物取扱員など
㉝負傷又は発病の時刻
けがをした時刻を「午前」または「午後」で記入します。
なお、上肢障害・精神障害・脳心臓疾患・振動障害・じん肺などで、発病時刻が不明な場合は記入する必要はありません。
㉞平均賃金
別紙1(下の方で説明しています)で算出した平均賃金の額を記入します。
㉟所定労働時間
けがをした本人の、けがをした日の所定労働時間を記入します。
㊱休業補償給付額、休業特別支給金額の改定比率
なにも記入する必要はありません。
㊲災害の原因及び発生状況
災害発生状況をできるだけ詳細に記入します。
理想は、「その光景が目に浮かぶ」ように書くことです。状況がわかりづらいような場合は、後日、労働基準監督署から確認が入ることがあります。
【記入例】
鋳物工場内の2階倉庫から1階作業場に通じる階段において、木箱(65×45×20cm)を倉庫から搬出作業中、後ろ向きに階段を下っていたため、足を踏み外し、約1.7m下に転落し、左足首を捻挫した。
また、けがをした日と初診日が違う場合は、その理由を付け足します。
【記入例】
捻挫したが歩くことはできたため様子を見ていたが、次の日の朝、左足がパンパンに腫れ上がっていたため、翌日に病院に行った。
㊳厚生年金保険等の受給関係
労災に休業補償を請求するのと同じ理由で(同じけがで)、厚生年金保険等から障害年金を受けている場合に記入します。
※脊髄損傷や上下肢の切断などの重たい傷病の場合は該当する場合があります。
※労災の休業補償と厚生年金保険等の障害年金を両方もらっている場合は、労災の休業補償が少し減額されて支給されることになります。
㊴その他就業先の有無
けがや病気をしたときに副業をしていた場合など、その事業場の他にも働いていたところが有ったか無かったか、その有無を記入します。
無い場合は「無」に○をするだけです。
有る場合は、「有」に○をしたうえで、けがをした会社以外の就業先の数を記入します。さらに、特別加入している人は、労働保険番号・労働保険事務組合名・加入年月日・給付基礎日額を記入します。
また、その他就業先が有る場合は、その就業先にかかる書類【様式第8号(別紙3)複数事業労働者用】も必要になります。
副業など、2つ以上の事業場で働いている人は、
- すべての就業先の賃金の合計で休業補償などが計算されるようになった
- 脳出血やうつ病の労災認定で、すべての就業先の労働時間・ストレスが考慮されるようになった
令和2年9月1日に上記のように改正されました。
表面の記入枠を訂正したときの訂正印欄
8号様式の表面の項目を訂正した場合に、訂正印を押す欄です。
間違って記入したものを訂正したりする場合、二重線などで抹消してその上部などに書き直すことになりますが、基本的に訂正箇所に訂正印を押すのではなく、この欄に印鑑を押印します(おそらく、見づらくなったり、機械の読み取りなどに影響が出るためと思われます)。訂正印は、けがをした本人のものと事業主の代表印を押しておけば間違いはないと思います。
また、訂正する項目がなかったとしても、捨印としてこの欄に押印しておけば、後々の手間が省けることがあります。
様式第8号(別紙1)(表面) 平均賃金算定内訳

平均賃金算定内訳の記入例・手順

1.労働保険番号・氏名・災害発生年月日・雇入年月日・常用日雇の別・賃金支給方法・賃金締切日を記入する
「常用・日雇の別」は、ほとんどの人は「常用」になると考えていいです。ちなみに、日給者は日雇ではありません。日雇とは「日々雇い入れられる人」のことです。
「賃金支給方法」は、該当するものすべてに○をします。たとえば、基本給は月給だけど残業手当は時間で計算されているという場合、月給と時間給に○をします。
2.賃金をAとBに分ける
基本給は「一月○○円」、通勤手当は「一日□□円」、残業手当は「一時間△△円」などのように、賃金の中身や計算方法はいろいろですね。
Aには、「月いくら(月給)」のように、労働日数にかかわらず定額で決まっているものを記入します。
上の記入例でいいますと、基本賃金と家族手当と通勤手当が「月いくら」と定額で決まっているものです。
Bには、「1日いくら(日給)」「1時間いくら(時間給)」「出来高給・請負給」といった労働日数や時間によって変動するものを記入します。
上の記入例でいいますと、残業手当は通常「1時間いくら」で計算されますので、Bに算入されています。
3.AとBそれぞれ負傷日直前の賃金締切日からさかのぼる3ヶ月間分の賃金を記入する
賃金計算期間
上の記入例でいいますと、災害発生年月日が「5月15日」、賃金締切日が「毎月末日」ですから、負傷日直前の賃金締切日は『4月30日』になります。
次に、『4月30日』からさかのぼる3ヶ月間は『2月1日〜2月28日』『3月1日〜3月31日』『4月1日〜4月30日』になりますので、AとBそれぞれの「賃金計算期間」の欄に記入します。
総日数
暦日数とイコールになりますので、単純にそれぞれの賃金計算期間の暦日数を記入します。
労働日数
賃金計算期間ごとの実労働日数を記入します。
1時間でも出勤すれば1日とカウントします。たとえば、半日勤務が2回あった場合、合計して1日とカウントするのではなく、「2日」とカウントします。

賃金は全部入れるべき!?
基本的に労働の対価として支払われるものはすべて算入しますが、含まれないものもあります。
【平均賃金に含まれないもの】
①3ヶ月を超える期間ごとに支払われるもの
賞与(ボーナス)、褒賞金、半期精勤手当など
※様式第8号(別紙1)(裏面)の③特別給与の額に記入します
②臨時に支払われたもの
私傷病手当、加療見舞金、退職金など
4.縦横それぞれの合計を計算する
AとBそれぞれ、横と縦の「計」を記入し、AとBの「総計」欄もすべてうめていきます。
5.平均賃金、最低保障平均賃金の計算をする

3ヶ月間の賃金の集計が終わったら、いよいよ平均賃金の計算になります。
平均賃金は、「平均賃金」欄で計算したものと、「最低保障平均賃金の計算方法」欄で計算したもので、どちらか高い方の金額が平均賃金になります。
平均賃金は「円」の下の単位である「銭」単位まで算出します。
また、「銭」未満の数字はすべて切り捨てになります。
①「平均賃金」欄での計算
3ヶ月間の賃金総額を3ヶ月間の総日数(暦日数)で割ったものになります。
上の記入例では、3ヶ月間の賃金総額は「1,061,000円」、3ヶ月間の暦日数は「89日間」になりますので、
1,061,000円÷89日間=11,921円34銭
になります。
②「最低保障平均賃金の計算方法」欄での計算
AとBに分けてそれぞれ計算し、その合算したものになります。
Aは、①「平均賃金」欄での計算と同じように、Aの計を3ヶ月間の総日数(暦日数)で割ったものになります。
Bは、Bの計を労働日数で割り、60%をかけたものになります。
上の記入例では、Aの計は「966,000円」、3ヶ月間の暦日数は「89日間」、Bの計は「95,000円」、労働日数は「62日間」になりますので、
A 966,000円÷89日間=10,853円93銭
B 95,000円÷62日間×60%=919円35銭
となり、合算した「11,773円28銭」が最低保障平均賃金になります。
6.どちらか高い方が平均賃金となり、8号様式裏面㉞平均賃金欄に転記する
上記5で、平均賃金は「11,921円34銭」、最低保障平均賃金は「11,773円28銭」と算出されました。
このどちらか高い方が平均賃金となりますので、8号様式裏面の㉞平均賃金欄に「11,921円34銭」と記入します。

平均賃金の記入例や書き方をご説明しましたが、平均賃金の計算は単純にいかないケースも多く、難しくなってしまうこともあります。
たとえば、「けがをする前に3ヶ月間の雇入れ期間がない場合はどうするの?」「雇入れ当日にけがをしてしまった」など、通常の方法では平均賃金が計算できない場合は、労働局や労働基準監督署に問い合わせするか、下記のページも参考にしてみてください。
平均賃金・給付基礎日額ってなに?
平均賃金・給付基礎日額の計算あれこれ①
平均賃金・給付基礎日額の計算あれこれ②
様式第8号(別紙1)(裏面)

②業務外の傷病の療養等のため休業した期間及びその期間中の賃金の内訳
この欄は、平均賃金の賃金計算期間である3ヶ月間に、「風邪をひいて休んだ」「子供の看病のために休んだ」などの期間があった場合に、その期間と、その期間に支払われた賃金を記入します。
③特別給与の額
賞与(ボーナス)、褒賞金、半期精勤手当などの、3ヶ月を超える期間ごとに支払われるものの「支払年月日」と「支払額」を記入します。

寒冷地手当は入れるの?
「3ヶ月を超える期間ごとに支払われるもの」とは、「その賃金の計算期間が3ヶ月を超えるかどうか」によって判断されます。
たとえば、10月から翌年3月までの6ヶ月間の期間にわたって支払われる寒冷地手当の場合、たとえ10月に一括支払いされていたとしても、月割計算の建前をとっているような場合は毎月分の前渡しと考えられ、平均賃金に算入することになります。
反対に、月割計算ではなく、一冬でいくらなどで算定されている場合は特別給与に含めます。
様式第8号(別紙1)(裏面)

様式第8号(別紙2)は、休業補償を請求する期間中に一部休業をした日があった場合に提出が必要になります。(なければ提出の必要はありません。)
「一部休業をした日」とは、たとえば「リハビリのため午前中は仕事を休み午後から出勤した」「様子見で2時間だけ出勤してみたけどやっぱり働けなかった」など、一部賃金を受けた日のことをいいます。
本来まだ働ける状態ではないけど、週に一度、午前中だけ体慣らしのために出勤している場合(半日5,000円の賃金)の記入例を作成してみましたので参考にしてみてください。

通勤災害の場合 16号の6様式(表面)

休業補償を請求するときに使用する8号様式は「業務災害」の場合に使用するのに対し、「通勤災害」の場合は16号の6様式を使用します。8号様式の通勤災害バージョンです。
記入項目は8号様式とほぼ同じですので、上記の「8号様式(休業補償)表面の記入例や書き方」をご覧ください。
また、様式第16号の6(別紙1)(表面)と(裏面)、様式第16号の6(別紙2)の記入項目についても8号様式とほぼ同じですので、上記の8号様式(休業補償)の記入例や書き方をご覧ください。
通勤災害については、様式16号の6(裏面)のみ記入例や書き方をご説明していきます。
通勤災害の場合 16号の6様式(裏面)

㉜労働者の職種
けがをした本人の職種を記入します。
㉝負傷又は発病の年月日及び時刻
けがをした日、けがをした時刻を「午前」または「午後」で記入します。
㉞平均賃金
別紙1(様式第8号(別紙1)(表面)で説明しています)で算出した平均賃金の額を記入します。
㉟災害時の通勤の種別
イ〜ホのうち、どの通勤災害に当てはまるかを選んで記入します。
通常の場合、イかロのどちらかになる場合が多いです。
イ.住居から就業の場所への移動
出勤するために自宅から会社に向かう途中にけがをしたような場合です。
ロ.就業の場所から住居への移動
仕事が終わり、会社から自宅に帰る途中にけがをしたような場合です。
ハ.就業の場所から他の就業の場所への移動
ダブルワーク(複数の事業場で働くこと)している人が、A会社の仕事が終わりB会社に向かう途中にけがをしたような場合です。
ニ.イに先行する住居間の移動
単身赴任者が休日明けに、家族が住む「自宅」から「単身赴任地の住居」へ向かう途中にけがをしたような場合です。
ホ.ロに後続する住居間の移動
単身赴任者が休日に向けて、「単身赴任地の住居」から家族が住む「自宅」へ帰る途中にけがをしたような場合です。
㊱災害発生の場所
けがをした場所の住所などを記入します。
㊲就業の場所
勤務先の住所や会社名を記入します。
㉟の災害時の通勤の種別が「ハ.就業場所から他の就業の場所への移動」に該当するときは、移動先の勤務先の住所や会社名を記入します。
㊳就業開始の予定年月日及び時刻
就業の場所における就業開始の予定時刻を記入します。
㉟の災害時の通勤の種別が「イ.住居から就業の場所への移動」「ハ.就業の場所から他の就業の場所への移動」「ニ.イに先行する住居間の移動」に該当する場合に記入します。
㊴住居を離れた年月日及び時刻
通勤するために住居を出発した時刻を記入します。
㉟の災害時の通勤の種別が「イ.住居から就業の場所への移動」「ハ.就業の場所から他の就業の場所への移動」「ニ.イに先行する住居間の移動」に該当する場合に記入します。
㊵就業終了の年月日及び時刻
仕事を終えた時刻を記入します。
㉟の災害時の通勤の種別が「ロ.就業の場所から住居への移動」「ハ.就業の場所から他の就業の場所への移動」「ホ.ロに後続する住居間の移動」に該当する場合に記入します。
㊶就業場所を離れた年月日及び時刻
仕事を終えた後、実際に就業の場所を離れた時刻を記入します。
㉟の災害時の通勤の種別が「ロ.就業の場所から住居への移動」「ハ.就業の場所から他の就業の場所への移動」に該当する場合に記入します。
※㊵と㊶の違いは、たとえば仕事が終わったあとに会社で同僚としばらく雑談してから帰ったなどの場合があるためです。
㊷災害時に通勤の種別に関する移動の通常の経路、方法及び所要時間並びに災害発生の日に住居又は就業の場所から災害発生の場所に至った経路、方法、所要時間その他の状況
通常の通勤経路やけがをした場所、所要時間などを、経路図や地図などで表すなどの方法により、わかりやすく記入します。
【記入例】

㊸災害の原因及び発生状況
災害発生状況をできるだけ詳細に記入します。
【記入例】
JR桜町駅から会社まで徒歩で出勤中、桜町○丁目桜町銀行本店前の市道で道路の縁石につまづき、転倒し、左手首を骨折した。
㊹現認者の住所・氏名
けがをしたときにその場で見ていた人、もしくはそういった人がいない場合はけがをした人の上司や、けがの報告を受けた方などの住所と氏名、電話番号を記入します。
㊺第三者行為災害
第三者行為災害の該当の有無について記入します。
第三者行為災害については、当サイトの記事をご覧ください。
㊻健康保険日雇特例被保険者手帳の記号及び番号
けがをした本人が、健康保険の日雇特例被保険者の場合に記入します。
㊼転任の事実の有無
㉟の災害時の通勤の種別が「ニ.イに先行する住居間の移動」「ホ.ロに後続する住居間の移動」に該当する場合に、転任(赴任、転勤)の事実の有無を記入します。
㊽転任直前の住居に係る住所
㉟の災害時の通勤の種別が「ニ.イに先行する住居間の移動」「ホ.ロに後続する住居間の移動」に該当する場合に、自宅の住所などを記入します。
㊾休業給付額、休業特別支給金額の改定比率
なにも記入する必要はありません。
㊿厚生年金保険等の受給関係
労災に休業補償を請求する理由と同じ理由で(同じけがで)、厚生年金保険等から障害年金を受けている場合は記入します。
※脊髄損傷や上下肢の切断などの重たい傷病の場合は該当する場合があります。
※労災の休業補償と厚生年金保険等の障害年金を両方もらっている場合は、労災の休業補償が少し減額されて支給されることになります。
㊴その他就業先の有無
けがや病気をしたときに副業をしていた場合など、その事業場の他にも働いていたところが有ったか無かったか、その有無を記入します。
無い場合は「無」に○をするだけです。
有る場合は、「有」に○をしたうえで、けがをした会社以外の就業先の数を記入します。さらに、特別加入している人は、労働保険番号・労働保険事務組合名・加入年月日・給付基礎日額を記入します。
また、その他就業先が有る場合は、その就業先にかかる書類【様式第16号の6(別紙3)複数事業労働者用】も必要になります。
副業など、2つ以上の事業場で働いている人は、
- すべての就業先の賃金の合計で休業補償などが計算されるようになった
- 脳出血やうつ病の労災認定で、すべての就業先の労働時間・ストレスが考慮されるようになった
令和2年9月1日に上記のように改正されました。
表面の記入枠を訂正したときの訂正印欄
16号の6様式の表面の項目を訂正した場合に、訂正印を押す欄です。
間違って記入したものを訂正したりする場合、二重線などで抹消してその上部などに書き直すことになりますが、基本的に訂正箇所に訂正印を押すのではなく、この欄に印鑑を押印します(おそらく、見づらくなったり、機械の読み取りなどに影響が出るためと思われます)。訂正印は、けがをした本人のものと事業主の代表印を押しておけば間違いはないと思います。
また、訂正する項目がなかったとしても、捨印としてこの欄に押印しておけば、後々の手間が省けることがあります。
別紙3 複数事業労働者用

副業などのように、けがや病気をした会社以外にも複数の就業先がある場合に提出が必要になります。
たとえば、A会社で働いている人がB会社でも働いていて、その人がA会社でけがをしたとき、B会社にこの書類を記入してもらう必要があります。
①労働保険番号
けがや病気をした就業先以外の会社(副業先)の労働保険番号を記入します。
②労働者の氏名・性別・生年月日・住所
けがをした労働者の氏名・性別・生年月日・郵便番号・住所を記入します。
③平均賃金
副業先の賃金で算出した平均賃金を記入します。副業先の会社の平均賃金算定内訳も別に作成し、別紙3複数事業労働者用と一緒に提出する必要があります。
④休業補償給付額、休業特別支給金額の改定比率
なにも記入する必要はありません。
⑤雇入期間
副業先の雇入期間を記入します。
⑥療養のため労働できなかった期間
仕事中のけがなどによる療養のために働くことができなかった期間(=休業補償を請求する期間)をいつから−いつまでというように記入します。
⑦賃金を受けなかった日数
療養のために労働することができなかった期間のうち、賃金を受けなかった日の日数を記入します。
たとえば、休んでいても有給休暇を取ったのなら賃金を受けたことになるので、日数から除かなければなりません。
⑧厚生年金保険等の受給関係
労災に休業補償を請求するのと同じ理由で(同じけがで)、厚生年金保険等から障害年金を受けている場合に記入します。
※脊髄損傷や上下肢の切断などの重たい傷病の場合は該当する場合があります。
※労災の休業補償と厚生年金保険等の障害年金を両方もらっている場合は、労災の休業補償が少し減額されて支給されることになります。
事業の名称、事業場の所在地、事業主の氏名
副業先の会社が証明する欄です。
会社名・住所などのゴム印がある場合はゴム印でかまいません。
印鑑は「代表印」になります。
日付欄は、事業主証明をした日付を記入します。
労災8号様式(休業補償)の手続きの流れ

労災に休業補償を請求するときに使う8号様式の手続きの流れについて説明します。
どういうときに使うの?
仕事中にけがをした、仕事が原因で発病したなどにより、その療養のため働くことができず、賃金がもらえないときに使用します。
【参考】
休業補償ってどんなときにもらえるの?
休業補償の金額はいくらくらいもらえるの?
休業補償はいつまでの期間もらえるの?上限はあるの?
パートやアルバイトでも労災から休業補償はもらえるの?
休業補償って退職した後ももらえるの?
なお、通勤災害の場合は、8号様式ではなく、様式16号の6を使用します。
どこに提出するの?
病院から医師の証明をもらい、管轄の労働基準監督署に提出します。
用紙はどこからもらうの?
最寄りの労働局・労働基準監督署で入手するか、厚生労働省のホームページからダウンロードして印刷して使用することができます。

他の様式の記入例や書き方について知りたい場合は、こちらもご覧ください。
労災5号様式の記入例と書き方
労災6号様式(転院・変更届)の記入例と書き方
労災7号様式(費用請求)の記入例と書き方
労災10号様式(後遺障害)の記入例と書き方
労働者死傷病報告(様式第23号)の記入例と書き方
労災の請求書や申請書の作成は大変手間がかかりますが、労災になれば無料で治療を受けることができたり、多額の給付金がもらえたりしますので、がんばって作成するようにしましょう!
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コメント
通勤途中の交通事故で怪我をしました。
車同士の交通事故で、自賠責保険を使用しています。
療養・通院のため有給休暇がなくなり、労災保険の休業特別支給金を申請しようと思い、様式第16号の6を作成したのですが、書類記入を病院に依頼したところ、様式第16号の3も提出するように言われました。
理由をお教えいただけたら、助かります。
よろしくお願いいたします。
>Aさん
コメントありがとうございます。
おそらくですが、病院が書類(様式第16号の6)の証明料を労災保険側に請求するためかと思われます。
労災指定病院の場合、様式第16号の3がないと、病院は労災保険に費用を請求することができない仕組みになっていますので、治療費は自賠責保険から出ているとしても、休業特別支給金などの請求をするような場合は病院へ様式第16号の3の提出が必要になります。
早々にご回答ありがとうございます。
とても分かりやすく、いつも参考にさせていただいています。
今後ともよろしくお願いいたします。
>Aさん
こちらこそありがとうございます。
今後とも宜しくお願いいたしますm(_ _)m
仕事中に右手の甲を切ってしまい、4針縫いました。5号用紙の手続きは、出来ました
私の職場は、総務とか、無く
自分で調べて遣るしかなく
第8号用紙を先日労基署で
貰いましたが
休業補償給付してもらうには、
23号用紙も、必要なのでしょうか?
8号用紙だけで、大丈夫ですか?
>みゆさん
コメントありがとうございます。
仮に23号用紙を提出しなかったとしても、8号用紙を提出すれば休業補償は受けられますからご安心ください。
ただし、23号も別の意味で提出が必要になります。23号は「こんな事故がありましたよ。」と会社が労基署に届け出るものです。どうしても事務をやってくれる人がいないのであればご自分で作成するしかないのかもしれませんが、用紙に事業主印が必要になりますので、最終的には会社に確認してもらい提出する必要があると思います。
お大事になさってください(^o^)
8号様式について質問です。
一人親方で建築組合に加入しています。8号様式に医師の証明欄と事業主の証明欄がありますが、先に医師から証明してもらってから、建築組合の証明をもらってもよろしいのでしょうか?
それとも建築組合の証明がないと医師は証明欄を記入してくれないでしょうか。
>ちゃんた さん
コメントありがとうございます。
医師と事業主の証明のどちらを先にもらわなければいけないという決まりはありません。なので、どちらを先にもらっても大丈夫です。
ただ、休業期間(これは建築組合が証明する項目です)が書かれていない状態で医師証明をもらおうとすると、いつまでの期間を証明していいかわからずに戸惑う先生もいるかもしれません。先に病院から証明をもらう場合は、病院に「いつからいつまで証明してほしいのか」をきちんと伝えた方が良いと思います。ご参考になれば幸いです。
コメント失礼します。
弊社は土日と祝日が所定休日なのですが、水曜日に労災があり、木金を有給使用、土日と月火(祝日)があり、水曜日を有給使用して、木曜日に出社した社員がおります。有給使用は本人希望です。
この場合、待期期間の会社補償は木曜日の労働できなかった分のみ(木金は有給のため給与支払い扱い?)になるかと思いますが、所定休日4日分は休業補償(8号)の対象でしょうか?また、対象なら日数の欄をどのように記入したらいいでしょうか?
>いーちゃんさん
コメントありがとうございます。
こういったお話はよくあるのですが、私の経験上、個々のケースや、管轄労働局によっても判断が分かれることが多いです。
というのも、「有給を取得している期間中は休業補償は受けられない」というのが大原則としてあるのですが、このような場合、木曜日から翌水曜日までを有給期間と取るのか、または一日単位で考え得るものなのか等の判断が難しいというのがあります。例えば、月給者なのか日給者なのかによっても考え方が変わったりもしますね。
有給期間中と思われるような場合であっても支払われるケースもありますので、管轄の労基署に相談されることをおすすめいたします。(的確なアドバイスができず申し訳ありません。。)