こんにちは!『労災保険!一問一答』のHANAです。
『労災で死亡した場合、いくらくらいの金額がもらえるのか?』『年金と一時金との違いとは?』『死亡したときの手続き』についてお話していきます。
下でくわしくお話するよ!
労災で死亡した場合の金額は?
不幸にも仕事中の事故により死亡してしまったり、通勤途上の交通事故などにより亡くなってしまった場合、ご遺族に対し労災保険から遺族(補償)給付が支給されます。
労災で死亡してしまった場合に遺族が受け取ることができる金額はいくらくらいなのでしょうか。また、だれがお金を受け取ることができるのでしょうか。
年金になるか一時金になるかは死亡したときの遺族の状況によって決まる
遺族(補償)給付は、労働者が死亡したときのご遺族の状況によって、「年金」になる場合と「一時金」になる場合に分けられます。
「年金」は受給権がなくなってしまうまで2ヶ月間ごとに支払われ続けるもので、「一時金」は読んで字のごとく一度だけ支払われて終了になるものです。経過にもよりますが、一般的に年金の方が金額的に有利になります。
では、年金になる場合と一時金になる場合に分けてお話していきます。
遺族(補償)年金になる場合
労働者の死亡当時、その労働者の収入によって生計を維持していた人がいて、かつ、その人の中に次の1から10にあてはまる人がいれば「年金」になります。
あてはまる人が複数いる場合、受給権者(お金をもらえる人)になる優先順位は1.から10.の順番になり、最先順位の人が人数分の年金を受給することができます。
- 妻または60歳以上か一定障害の夫
- 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか一定障害の子
- 60歳以上か一定障害の父母
- 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか一定障害の孫
- 60歳以上か一定障害の祖父母
- 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか60歳以上または一定障害の兄弟姉妹
- 55歳歳以上60歳未満の夫
- 55歳以上60歳未満の父母
- 55歳以上60歳未満の祖父母
- 55歳以上60歳未満の兄弟姉妹
※ 「その労働者の収入によって生計を維持していた」とは、もっぱらまたは主としてその労働者の収入によって生活をしていた場合だけをいうのではなく、一部だけでも良いことになっていますので、単に同居していた場合や仕送りを受けている学生さんなどもこの生計維持関係に含まれることになっています。
※ 「一定の障害」とは、労災保険の障害等級表の第5級以上の障害をいいます。
「年金になる場合」と「ならない場合」の例をみてみましょう
遺族(補償)年金の金額はいくらくらいもらえる?
遺族数 | 遺族(補償)年金 |
1人 | 給付基礎日額の153日分 ただし、55歳以上の妻もしくは一定の障害状態にある妻の場合は給付基礎日額の175日分 |
2人 | 給付基礎日額の201日分 |
3人 | 給付基礎日額の223日分 |
4人以上 | 給付基礎日額の245日分 |
遺族(補償)年金としてもらえる金額は、上の表のとおり、死亡した労働者がもらっていた給料から計算される給付基礎日額を1日分として、遺族数に応じた給付日数分の金額が、年額として最先順位の人に支給されることになります。
たとえば、死亡する前にもらっていた給料が月30万円の人の場合で考えてみますと、給付基礎日額は約1万円になります。
この人が死亡した当時、上記にあてはまる遺族数が2名(妻と父)だったとすれば、「1万円×201日分」で「201万円」を年額とした年金が妻に対して支払われます。
また、この他にも遺族特別支給金として「300万円(定額)」が一時金で支給され、死亡する前に賞与などが支給されていた人はさらに上乗せされる年金(遺族特別年金)もあります。
遺族(補償)年金は、支給要件に該当しなくなったら失権(年金がもらえなくなること)します。
支給要件に該当しなくなる例としては、
- 年金をもらっていた人が死亡した
- (妻の場合)再婚した
- (子供の場合)18歳になった年度の年度末をむかえた
などになった場合、年金はもらえなくなります。
遺族(補償)一時金になる場合
労働者の死亡当時、上記の年金を受ける遺族がいない場合には「一時金」になります。
一時金の受給資格者は次の1.から4.のとおりで、この順番で受給権者(お金をもらえる人)になります。
- 配偶者
- 労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた子・父母・孫・祖父母
- その他の子・父母・孫・祖父母
- 兄弟姉妹
※ 2と3の中では子・父母・孫・祖父母の順番になります。
遺族(補償)一時金の金額はいくらくらいもらえる?
遺族(補償)一時金になった場合にもらえる金額は、以下のとおりとなります。
給付基礎日額の1000日分
たとえば、死亡するに至る災害の前にもらっていた給料が月30万円の人の場合で考えてみますと、給付基礎日額は約1万円になります。
この人が死亡した当時、上記1.から10.の年金に該当する遺族がおらず、同居していた遺族が父、母、兄、妹だったとすれば、「1万円×1000日分」で「1,000万円」が一時金として父母のどちらかに対し支払われます(父母は同順位のため、どちらか代表者を選任することになります)。
また、この他にも遺族特別支給金として「300万円(定額)」が一時金で支給され、死亡する前に賞与などが支給されていた人はさらに上乗せされる一時金(遺族特別一時金)もあります。
遺族(補償)年金、遺族(補償)一時金の請求手続きについて
遺族(補償)年金の場合は「遺族(補償)年金支給請求書」を、遺族(補償)一時金の場合は「遺族補償一時金支給請求書」を管轄の労働基準監督署に提出します。
各請求書の入手方法については、最寄りの労働局や労働基準監督署でもらうか、インターネットでダウンロードして印刷する方法があります。
また、請求書に添付する書類として、以下のようなものが必要になると思いますが、くわしくは管轄の労働基準監督署に確認してください。
- 死亡診断書などの死亡を確認できる書類
- 戸籍謄本などの死亡労働者との関係を確認できる書類
- 住民票などの生計維持関係があったことを証明できる書類
葬祭料もあわせて請求しましょう
労災で死亡して遺族(補償)給付を請求する場合は、あわせて葬祭料も請求することができます。葬祭料のくわしい請求方法などについては、当サイトの記事をご覧ください。
コメント
以前は仕事の書類作成のために質問し、回答していただきありがとうございました。
今回は障害給付について質問があります。
妻以外の受給権者には年齢または一定の障害の要件がありますが、障害が「身体障害のみ」なのはなぜでしょうか?
知的障害者は除外なのでしょうか。
私自身知的障害のある子供が居るので気になります。
>さとみさん
コメントありがとうございます。
知的障害者は除外されておりません。労災の障害には「脳の非器質性の障害」についても定められており、障害の程度が該当すれば遺族(補償)給付の受給資格者になり得ます。
お尋ねしたいのですが、「身体障害のみ」との記述は当サイト内の記事でしょうか?もし誤解を生むような表現があれば修正したいので、場所を教えていただけますか??
>HANAさん
返信ありがとうございます。
自身のこととして安心しました。
(子供に重度知的障害がありますので)
「身体障害のみ」というのは私の思い込みです。
こちらではなく遺族補償について説明しているいくつかのサイトを見ましたが「身体障害5級以上」という記述しか見当たらなかったので勘違いしてしまいました。
>さとみさん
そうでしたか^^ご連絡いただきましてありがとうございました。