労災の特別加入とは(一人親方等)

質問

建設の一人親方なども労災保険に特別加入できる制度があると聞きました。どのような制度なのか教えてください。

答え

建設の一人親方などでも労災保険に加入できる「特別加入」という制度があります。

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下でくわしくお話するよ!

一人親方等の特別加入制度

労災の特別加入(一人親方)

労災保険は、事業に雇用されている労働者のための保険ですので、通常、一人で事業を行なっている人、たとえば、建設の一人親方や個人タクシーなどの人は労災保険の保護の対象にはなりません。

ところが、このような人でも特別に労災保険に加入できる制度があります。これを「特別加入制度」といっています。

労災の特別加入制度には4つの種類があり、詳しくは以下のページをご覧ください。

この4つの特別加入のうち、このページでは一人親方等の特別加入について紹介していきます。

一人親方等の特別加入ができる人とは?

一人親方等の特別加入ができる人は、労働者を使用しないで事業を行うことを常態とする一人親方、その他の自営業者などで、次の事業を行う者に限り特別加入が認められています。

  1. 自動車を使用して行う旅客または貨物の運送の事業
  2. 土木、建築その他の工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊もしくは解体またはその準備の事業
  3. 漁船による水産動植物の採捕の事業
  4. 林業の事業
  5. 医薬品の配置販売の事業
  6. 再生利用の目的となる廃棄物等の収集、運搬、選別、解体等の事業
  7. 船員法第1条に規定する船員が行う事業

これらの事業を労働者をしないでおこなうことを常態とする人が対象ですが、ごく短期間とか、たまたま労働者を使用することがあったとしても差し支えないとされています。

また、もちろんですが、自分自身がその事業に直接従事する人でなければ特別加入制度の趣旨からいっておかしくなってしまいますので、自分自身が車を運転する、建築現場で働く、木を切る、船に乗るなどの人でなければなりません。

特別加入の手続をするには?

一人親方などが特別加入をする場合、まずは「○○建設一人親方組合」などの特別加入をしようとする人が構成員となる団体に加盟することが必要になります。

最寄りの労働局・労働基準監督署で、お近くの各団体の名簿一覧などがあると思いますので、その中から選んで直接連絡してみましょう。また、インターネット上からでも加入できる団体もありますので検索などで自分で探して加盟することになります。

その後の特別加入の手続きは、各団体を通しておこなうことになりますので、各団体にお問い合わせ下さい。

特別加入の保険料はいくらくらいかかる?

特別加入の保険料はいくらくらいかかるのでしょうか。

それは、選ぶ「給付基礎日額」と「事業の内容」によって変わってきます。

特別加入者の給付基礎日額

特別加入者は、賃金を受けて労働に従事しているわけではありませんので、一般の労働者のようにけがをしたときの賃金から給付基礎日額を計算することができません。

ですから、特別加入するときや更新の手続きをするときに、特別加入者の収入を考慮して実態に近い給付基礎日額を3,500円から25,000円の範囲から選び、保険加入することになっています。

特別加入者(一人親方)の給付基礎日額・保険料一覧表
特別加入者(一人親方)の給付基礎日額・保険料一覧表

この給付基礎日額は、支払う保険料を決定する基礎になるものですし、休業補償などの給付を受けるときにもこの金額が基礎となり給付額が決定されることになります。

実際に特別加入保険料を計算してみよう!

「建設の事業」の一人親方で、給付基礎日額が10,000円(年間の収入が365万円程度)の人の場合を例に特別加入保険料を計算してみましょう。

【計算】
給付基礎日額 10,000円 × 365日 × 保険料率 18/1000 = 65,700円

この場合、65,700円年間の保険料として支払わなければならない額になります。

もちろん、選ぶ給付基礎日額や事業の内容によって保険料は変わりますので注意してください。

なお、事業の内容ごとの保険料率は、以下のページを参考にしてください。

最後に、労働者に対する労災保険はいわゆる「強制保険」ですが、特別加入は「任意保険」ですので、当然、加入していなければ補償されません。保険の効力は、申請をして承認を受けた日以降からになりますので、気をつけて下さい。

管理人

労働者を使用していない一人親方さんなども、特別に労災保険に加入する道が開かれてるというのはありがたいですね!

コメント

  1. ぴぴ より:

    建設業(火力発電設備の修理・点検を主とする)にて個人事業主として開業することになったのですが、個人事業主が元請となり中小企業(株式会社等)を下請け事業者として契約することは可能なのでしょうか?また、下請け事業への労災保険等の契約は必要となるのでしょうか?ご教示願います。

  2. HANA HANA より:

    >ぴぴさん

    コメントありがとうございます。

    契約が可能かどうかにつきましては、労災保険法と離れたお話になりますので、国交省などの管轄部署に確認してみることをおすすめいたします。

    仮に契約した場合、元請が工事全体(下請や孫請の雇用労働者分など)について労災保険に加入する必要があります。保険料等についてはこちらを参考にしてみてください。

  3. 藤原 より:

    製造業の事業者が1人親方の人を業務委託みた契約している際に、その一人親方を労災に入れるには特別加入ははいれるのでしょうか?

  4. HANA HANA より:

    >藤原 様

    コメントありがとうございます。

    その一人親方さんは普段、一人親方としてどんなお仕事をされているのでしょうか?その仕事内容が上記の1〜7にあてはまるのなら特別加入することは可能だと思います。ちなみに製造業なのであれば当てはまるものがないので特別加入することは難しいと思います。

    製造業の事業者がどうしてもその一人親方の人を労災に加入させたいということであれば、経費などの問題はありますが「業務委託」ではなく「雇用契約」にすることで製造業の事業者の労働者として労災保険に加入させることができます。

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