こんにちは!『労災保険!一問一答』のHANAです。
みなさん、「労災保険」という言葉を一度は聞いたことがあると思います。でも、実際に労災保険を使ったことがあるよ!という人は少ないのではないでしょうか。
本記事では、ネコ太郎くんと一緒に、労災保険について、できるだけ「簡単に」「わかりやすく」お話していきたいと思います。
労災保険って?簡単にわかりやすく説明します!
労災保険についてお話していきましょう。
労災保険は「仕事」のけがで使うもの
こんなふうに仕事中にけがをしてしまうということってありますよね?労災保険はこんなときに使えるものです。
おれっち、けがしたらいつも保険証で病院にかかってるぞ。
保険証は、仕事以外のけがや病気で使うものだから、仕事中のけがには保険証は使えないんだよ。
普段、病院に行くときに使っている保険証(健康保険や国民健康保険)は仕事中のけがには使えません。その代わりに使えるのが労災保険です。
もし間違って保険証で病院にかかってしまったら、あとで労災保険に切り替える手続きが必要になります。
仕事中にけがをしてしまったとき以外にも、労災保険は仕事を原因として病気になってしまったときや、通勤途中(仕事の行き帰り)のけがなどにも使うことができます。
労災保険って…なにをいくらくらいもらえるの?
けがをしたら、病院代もかかるし、くすり代もかかるニャ…
それだけじゃないよ。けがをして働けなくなったら給料がもらえなくなるし、後遺症が残るときだってあるよ。不幸にも仕事中に亡くなってしまうことだってあるよ。
仕事中にけがをしたら、労災保険から病院代やお薬代が出ます。
また、けがをしたことによって働くことができなくなってしまうときもありますよね?そういうときは給料の代わりに休業補償がもらます。
そのほかにも、通院するための交通費がもらえたり、大きいけがの場合は後遺症が残ったり死亡したりしたときもそれに対するお金がもらえたりします。
へー、労災保険って良いもんニャンだな。
保険証だと3割負担しなきゃいけないけど、労災になれば基本的に自己負担なしだよ!
労災になったら「なにを」「いくらくらい」もらえるのか、まとめてみた記事がありますので参考にしてみてください。
働く人はみんな対象なの?
ところで、おれっち敏腕社長として働いてるけど、けがしたら労災使えるよね?
残念だけど使えないよ。労災保険は雇われている側が対象だから、社長は労災は使えないんだよ。(敏腕かどうかは知らんけど…)
労災保険が使える人は「労働者」となっています。ここでいう「労働者」とは世の中で働いているすべての人をいうわけではありません。
労災保険の対象になる「労働者」とは、雇われている側の人をいいます。なんらかの事業に雇用されて賃金をもらっている人なら、正社員、アルバイト、派遣などの名称や雇用形態に関わらず対象になります。
反対に、雇う側の人、たとえば事業主や役員などは原則対象にはなりません。個人事業主や家族従事者、フリーランスなども原則対象外です。また、公務員なども別に災害時の補償制度が定められていますので、労災保険の対象にはなりません。
ただし、社長や個人事業主でも、条件を満たせば特別に加入できる労災保険もあります。
保険料はだれが払ってるの?
労災保険は国でやっているとはいえ、保険なんだから保険料が発生するんだよね?保険料はだれが払うの?
労災保険の保険料は「全額事業主負担」となっているから、ネコ太郎が払わなきゃいけないよ。敏腕社長なんでしょ!
がび~ん!
なんて労働者ファーストな世の中ニャンだ…
「仕事中のけがは事業主の責任」というのが法律上の考え方になっていますので、労災保険に加入したり保険料を支払ったりするのは事業主の義務になっています。なので、労災保険の保険料は全額事業主負担になっています。
なお、労災保険と雇用保険がセットで「労働保険」と呼ばれていますが、雇用保険の方には一部個人負担があります(給料から天引)。
労災保険に申請するには?
でも、保険証が使えないとなると…けがしたらどうやって病院にかかるんだ?
労災保険を使うときは必ず「請求書」とか「申請書」を作って提出することが必須だよ。
労災を使うためには、病院代・お薬代・交通費・休業補償・後遺症など、給付を受けたいものごとにそれぞれ請求書や申請書を作って提出しなければなりません。
めんどくせぇー!
面倒でも仕方ないの。会社に手伝ってもらえるから、面倒でもちゃんと手続きしてもらえるものはもらわなきゃ!
労災保険の手続きの流れについては、こちらの記事でまとめていますのでご覧ください。
労災保険の今
労災保険の正式名称は「労働者災害補償保険」といい、各都道府県にある労働局や労働基準監督署が管轄しています。
労災保険法第1条と2条では、労災保険についてこのようにうたわれています。
業務上の自由または通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡などに対して迅速かつ公正な保護をするため、必要な保険給付を行い、あわせて、業務上の事由または通勤により負傷し、または疾病にかかった労働者の社会復帰の促進、当該労働者及びその遺族の援護、労働者の安全及び衛生の確保などを図り、もって労働者の福祉の増進に寄与することを目的としたもので、政府がこれを管掌する。
厚生労働省の発表によりますと、工事現場などにおける事故や、仕事中や通勤途上においての交通事故などは依然として高水準で推移しているようですし、近年では、慢性的な人員不足や過酷な労働環境などに伴う長時間労働による過労死や過労自殺、パワハラ・セクハラなどの人間関係によるストレスにより適応障害、ストレス性障害などを発症するなどの精神障害による労災請求も増加しているようです。
その他にも、林業労働者や炭鉱、トンネル工事などに従事していた方などに発症することが多い振動障害やじん肺、アスベストによる石綿肺、肺がん、中皮腫などにより苦しんでおられる方も多くいらっしゃいます。
このように労災保険は、けがをした本人に対してはもちろんのこと、そのご家族、ご遺族にとっても大きな手助けとなってくれるものです。
労災保険はいわゆる補償制度ですので、基本的にはかかった費用や被った損害に対し現金が給付されるというものですが、治療そのものであったり、義肢や補装具、車いすといった現物で支給されるものもあります。