下でくわしくお話するよ!
労働保険の新規加入手続きついて
労働保険とは、仕事中や通勤途中にけがをした場合などに給付される労災保険と、失業した場合などに給付される雇用保険が一緒になったものです。この労働保険の新規加入の手続きや保険料の納付などについて説明していきます。
労働保険はどこで加入手続きをするの?
労働保険を扱っているところは、全国の労働基準監督署と公共職業安定所(ハローワーク)です。また、この2つの上部組織として都道府県労働局があります。
基本的には、事業場の所在地を管轄する労働基準監督署と公共職業安定所で、労働保険(労災保険・雇用保険)の加入手続きをおこないます。
一元適用事業と二元適用事業
労働保険の適用事業には、事業の内容によって「一元適用事業」と「二元適用事業」の2つに分けられます。
労働保険の新規加入についてご説明する前に、一元適用事業か二元適用事業のどちらになるのかにより手続きなどに少し違いがでるので、この2つの違いからご説明したいと思います。
一元適用事業とは
労災保険と雇用保険をセットにして「労働保険」と呼んでいますが、この労災保険と雇用保険の両保険を一体にして成立させるものを「一元適用事業」といっています。新規加入手続きや、保険料の申告・納付などを労災保険と雇用保険をセットにして一緒に手続きを行います。
飲食業、小売業、卸売業、製造業、交通運輸業、その他サービス業などが一元適用事業になります。
二元適用事業とは
一元適用事業に対し、労災保険と雇用保険の保険関係成立や申告・納付を、それぞれ別個で二元的に処理がなされるものを「二元適用事業」といっています。二元適用事業の場合、労災保険と雇用保険の新規加入手続きや保険料の申告・納付を、それぞれ別個におこなう必要があります。
二元適用事業には、以下のような事業が該当します。
- 都道府県や市町村の行う事業またはそれに準ずるものの行う事業
- 六大港湾(東京港、横浜港、名古屋港、大阪港、神戸港、関門港)における港湾運送の事業
- 農林水産の事業
- 建設の事業
一元適用事業の労働保険の新規加入手続きと保険料の納付
飲食業や小売業、製造業などの一元適用事業の労働保険の新規加入手続きの流れは以下のようになります。
- 労働者を初めて雇用した日(保険関係成立年月日になります)から10日以内に事業場の住所を管轄する労働基準監督署に「保険関係成立届」を提出します。
- 雇用保険の該当者がいる場合は、その後、管轄の公共職業安定所(ハローワーク)に「雇用保険適用事業所設置届」「雇用保険被保険者資格取得届」を提出し雇用保険の資格取得の手続きをします。
- 保険関係成立年月日から50日以内に、労働保険の概算保険料を申告・納付します。(概算・増加概算・確定保険料・一般拠出金申告書、納付書を作成し、労働基準監督署か最寄りの金融機関などで手続きをおこないます。)
一元適用事業の場合は、成立や保険料の申告・納付の手続きは労災保険・雇用保険をあわせて一元的に労働基準監督署でおこないますが、労働者一人一人の名前の登録などの雇用保険資格取得の手続きは公共職業安定所でおこなわなければならないということになります。
二元適用事業の労働保険の新規加入手続きと保険料の納付
一元適用事業に対し、二元適用事業は、労災保険と雇用保険のそれぞれ別個に手続きをする必要がありますので、少しだけ手間が増えることになります。
労災保険
- 労働者を初めて雇用した日(保険関係成立年月日)から10日以内に事業場の住所を管轄する労働基準監督署に「保険関係成立届」を提出します。
- 保険関係成立年月日から50日以内に、労災保険の概算保険料を申告・納付します。(概算・増加概算・確定保険料・一般拠出金申告書、納付書を作成し、労働基準監督署か最寄りの金融機関などで手続きをおこないます。)
雇用保険
- 雇用保険の対象となる労働者を初めて雇用した日(保険関係成立年月日)から10日以内に事業場の住所を管轄する公共職業安定所(ハローワーク)に「保険関係成立届」を提出します。
- あわせて、管轄の公共職業安定所(ハローワーク)に「雇用保険適用事業所設置届」「雇用保険被保険者資格取得届」を提出し雇用保険の資格取得の手続きをします。
- 保険関係成立年月日から50日以内に、労働保険の概算保険料を申告・納付します。(概算・増加概算・確定保険料・一般拠出金申告書、納付書を作成し、公共職業安定所(ハローワーク)か最寄りの金融機関などで手続きをおこないます。)
労働保険新規加入の提出書類の記入例
労働保険に新規加入するときなどに必要な書類(保険関係成立届・保険料申告書・雇用保険適用事業所設置届・雇用保険被保険者資格取得届)の記入例をご紹介します。
保険関係成立届の記入例
保険料申告書の記入例
雇用保険適用事業所設置届の記入例
雇用保険被保険者資格取得届の記入例
なお、厚生労働省のパンフレットに労働保険の新規加入手続きや保険料の納付手続きなどについての詳細や、保険関係成立届・保険料申告書・雇用保険適用事業所設置届・雇用保険被保険者資格取得届などの上記の記入例などが載っていますのでご覧ください。
また、労働保険の新規加入から給付を受けるまでの流れをまとめた記事もありますので、参考にしてみてください。
労災保険や雇用保険の加入対象者がいるのに加入を怠っているような場合は、費用徴収などのこわーい制度が適用になる場合がありますので、忘れずに手続きをするようにしましょうね!
コメント
事業拡大の一環として、一般建設業の電気通工事信業の許可取得申請中です。
許可後に必要となる手続きにわからない箇所があり、教えて頂きたくお願いします。
◆加入手続きとして、労働基準監督署に提出が必要なもの
①保険関係成立届:継続事業で申告済みなので不要ですか?、電気通信工事業として元請工事発生時に提出必要?
②一括有期事業開始届:平成31年4月1日より不要
③概算保険料申告書:①が必要な場合は必要?②と併せ不要?
◆工事終了手続き
・一括有期事業報告書/一括有期事業総括表*以下確定保険料申告書と併せ呈出
・確定保険料申告書(毎年6/1~7/10)
※年度中に終了した元請工事がない場合は、保険料申告書のみを提出?
また、その際、次年度に元請工事が発生した場合加入手続きが必要?
明確に記載してあるものが見つけられなく、教えて頂きたく宜しくお願いします。
>Kさん
コメントありがとうございます。
■加入手続き
① 建設業としての保険関係は別個に成立させる必要があるため、申告済みの継続事業というのが建設業(工事)としてのものでないのであれば(例えば小売業とか製造業とか事務所などの場合です)、新たに建設業としての保険関係成立届の提出が必要になります。提出時期は、初めての元請工事を開始してから10日以内です。
② 今後は不要です。【ご参考】一括有期事業とは(地域範囲変更・開始届廃止)
③ ①で保険関係成立届を提出する場合は、あわせて提出が必要になります。(正確には50日以内ですが同時のほうが一度で済みます)
■終了手続き
毎年1回、6/1〜7/10までの期間に、ご記載のとおりの書類の提出が必要です。
年度中に終了した元請工事がない場合は、保険料申告書のみの提出で構わないはずですが、都道府県労働局によっては一括有期総括表も提出してほしい(金額0で)と言われることもあります。
次年度に元請工事が発生しても、都度の加入手続きは必要ありません。一括有期事業としての保険関係が成立していれば、該当工事はすべて対象になるという考え方があるためです。年度更新のときに、納付済みの概算保険料を次年度に繰り越すだけで大丈夫です。なお、大幅に見込みが増える場合は概算保険料を上乗せしてもいいですし、概算申告後に当初の見込みより大幅に増えた場合でも年度途中に増加概算保険料申告が可能です。
回答ありがとうございます。
今年度、元請工事が発生せず、0円で確定保険料申告書すれば、一括有期事業としての保険関係が成立するとのことですね。
>小池 透 さん
一括有期事業としての保険関係が成立していれば、元請工事発生の都度の手続きは必要なく、自動的に労災の対象になるということです。(翌年度に元請工事分の確定申告が必要です)
ありがとうございます。
私の質問が間違ってました。
今年度、元請工事が発生せず、0円で確定申告をすると、確定申告で一括有期事業としての保険関係が成立するため、次年に発生した元請工事の初回の保険関係成立届と概算保険料申告書は不要となり、翌年度に確定申告を行う(これを毎年繰返す)の認識で良いですね。
何度も、申し訳ございません。
>小池 透 さん
一括有期事業の保険関係成立届と概算保険料申告書の提出が必要なのは、「事業を起こして初めて元請工事が発生したとき」の最初のただ一度だけです。その後は、毎年、自動的に郵送されてくる年度更新手続(確定申告と概算申告を一緒におこなう手続き)をしていくだけで保険が継続されていきます。
現在は、建設業ではない事業で労災保険に加入しているんですよね?そうであれば、建設業としての保険をもう一つ別にかける必要があるので、上記のような手続きになります。
ありがとうございます。
都度の回答内容は理解しているつもりです。
事業を起こした年に元請工事が発生せず、その翌年度に元請工事が発生した場合に、一括有期事業の保険関係成立届と概算保険料申告書の提出が必要かが、よくわかりません。一括有期事業としての保険関係が成立するのは、一括有期事業の保険関係成立届と概算保険料申告書の提出だけなのですか。
事業を起こした年に元請工事が発生しなくとも、その年度の確定保険料申告、保険料申告書(概算申告)を提出(一括有期総括表も提出準備(金額0で))することも理解しました。
もちろん労災保険にはすでに加入済みです。
労災保険の処理等を行ったことがなく、何度も同じことの繰り返しとなりますが、よろしくお願いします。
>小池 透 さん
何度もご質問いただき、お手数をおかけしてすみません。
整理するために何点か質問をしたいのですがよろしいでしょうか。
①「事業拡大の一環として、一般建設業の電気通工事信業の許可取得申請中」とのことですが、現在まで主にやっている事業というのはどのような事業なのでしょうか?(大まかで結構です)
②現在、加入済の労災保険の「保険関係等」と「業種」の数字を教えていただけますか?年度更新の確定概算申告書の控えの上部にある「※各種区分」欄に印字されていると思います。
ありがとうございます。以下の通りです。
①事業
・ネットワーク運用管理、テクニカルヘルプデスクなど
②保険情報
・保険関係等:111
・業種:9416
>小池 透 さん
ご回答いただきありがとうございました。
まず、ご確認いただきたいのは、「現在、加入されている労災保険に建設業(現場分)を含めることはできない」ということです。ですので、現在加入されている労災保険のことはまずはいったん忘れてください。(厳密には、事務員さんは含めることは可能ですが、現場作業員は無理です。)
ですので、建設業を新たに始める場合、まったくの新規加入の手続きが必要になります。(結果、2つの労働保険番号を持つことになり、それぞれで手続きが必要になっていきます。)
ここまでで何かご不明な点はありますでしょうか?
(私の説明がヘタクソなせいで何度も申し訳ありません。。)
ありがとうございます。
建設業として労災保険の新規加入手続きが必要となることを理解しました。
>小池 透 さん
ご回答いただきありがとうございました。
では、建設業の新規加入の手続きについて、できるだけ簡潔に説明しますね。
【新規加入手続きはいつ必要か】
「初めて元請工事が発生したとき」です。建設の事業をおこなっても下請しかない期間は労災保険をかける必要がありませんので、何も手続きするものはありません。
【元請が発生したら…】
新規加入手続きが必要になりますので、保険関係成立届と概算保険料申告書を提出します。保険関係成立届が必要なのは、このときだけです。
【その後は?】
年度更新手続きで保険が継続されていきます。
【補足】
もしかしたらですが、単独有期事業と混同されている部分はありますでしょうか?単独有期事業(1億8000万円以上の工事)やJV工事は、現場ごとに保険関係の成立と消滅を繰り返す必要がありますので、都度、保険関係成立届の提出が必要ですが、一括有期事業は年度ごとに精算する仕組みになっていますので、その必要はありません。
ありがとうございます。
単独有期事業と混同はしていません。今年度一般建設業を取得しますが、最新計画での工事は下請負のみとなってしまいました。その場合の今後の保険手続きを確認したかったのです。
【今年度取得後、年度内元請工事未発生の場合】
・年度末後の確定申告等の手続きは不要
【次年度以降元請工事が発生】
・発生した際の初回工事で新規加入手続き(保険関係成立届と概算保険料申告
書の提出)
【発生年度末後】
・年度更新手続き:確定申告を実施(年度内工事完了分)
【以降年度末】
・年度更新手続きを継続実施
この様なながれとなるのでしょうか。
>小池 透 さん
その通りです。
ありがとうございます。
スッキリしました。