※本記事は労災の保険料(掛け金)がいくらくらいになるのかをご説明しています。労災の受給金額がいくらくらいになるのか知りたい人は労災支給金額!全部でいくらもらえる?を参考にしてください。
下でくわしくお話するよ!
労災保険の保険料の金額はいくら?
本記事では、飲食店や小売業、運送業、製造業などの一般の事業の場合の労災保険の保険料についていくらくらいの金額がかかるのか、できるだけ具体例をあげて説明していきたいと思います。
なお、建設業の場合の保険料は別記事で説明しています。
労災保険料はだれが払うの?
労災保険への加入は事業主の義務ですから、労災保険料は全額事業主負担となります。
ちなみに、労災保険は労働者負担は0円ですが、雇用保険は労働者にも一部負担があり、一般的には給料から天引きされることが多いです。
労災保険料の金額はいくら?計算方法について解説します
労災保険の一般保険料は、原則、事業主が使用するすべての労働者に対して支払う「賃金の総額」に、業種ごとに定められた「労災保険率」をかけて算出します。
賃金の総額 × 労災保険率 = 労災保険料
賃金の総額とは?
保険料の計算に使用する「賃金」とは、賃金、給与、手当、賞与などの名称を問わず、労働の対価として事業主が労働者に対して支払うすべてのものをいうとされています。
したがって、一般的に「賃金の総額」とは、給料明細上の総支給額のことになります。基本給、住宅手当、残業手当、有給休暇、歩合給などのほか、通勤手当などの非課税分も含まれますし、税金や社会保険料などを控除する前の金額になります。また、ボーナス(賞与)などの支給分も含まれます。
賃金の総額には、基本的には労働の対価として支払われたほとんどのものが含まれると考えていただいてかまわないと思いますが、賃金に含まれないものもあります。
それは、チェーンソーの損料や工具手当などのように実費弁償的性格のものですとか、結婚祝金や死亡弔慰金、持株会の配当金など、労働の対価とは言えないようなものについては「賃金」には含まれません。
労災保険率とは?
労災保険率とは、保険料の金額を計算するために事業の種類ごとに定められているものです。
危険率が高い業種ほど労災保険率が高くなっており、保険料も高くなるように設定されています。
業種ごとの労災保険率の一覧については、下記の記事をご覧ください。なお、労災保険料率は3年に一度くらいのペースで見直されています。
実際に労災保険料を計算してみよう!
具体例をあげながら、実際に労災保険料の金額がいくらになるのかを計算してみましょう。
【例1】
- 業種:レストラン(飲食店)
- 従業員:1名
- 従業員の賃金:月給20万円 賞与なし
飲食店の労災保険率は「3/1000(1000分の3)」です。従業員が1名で月に20万円の賃金を支払っていますので、年間の支払い賃金は、「20万円×12ヶ月」で「240万円」になります。
- 240万円 × 3/1000 = 7,200円
この場合の年間の保険料は「7,200円」になります。
【例2】
- 業種:レストラン(飲食店)
- 従業員:3名
- 従業員の賃金:月給 Aさん30万円 Bさん20万円 Cさん10万円
従業員が3名で、それぞれの月給が「Aさん 30万円」「Bさん 20万円」「Cさん 10万円」ですので、3人トータルの年間の賃金支払額は「60万円×12ヶ月」で「720万円」になります。
- 720万円 × 3/1000 = 21,600円
この場合の年間の保険料は「21,600円」になります。
さらに、この「賃金」には賞与(ボーナス)も含まれることになっています。
夏冬のボーナスをあわせて、「Aさん 50万円」「Bさん 30万円」「Cさん 20万円」のように支給しているとしますと、毎月の給与とあわせて3人トータルの年間の賃金支払額は「820万円」になりますので、
- 820万円 × 3/1000 = 24,600円
と計算され、この場合の年間の保険料は「24,600円」になります。
【例3】
- 業種:運送業(貨物取扱事業)
- 従業員:3名
- 従業員の賃金:月給 Aさん30万円 Bさん20万円 Cさん10万円 賞与 3人トータルで999,999円
業種がトラック運送などの貨物取扱事業の労災保険率は「9/1000」ですので、支払い賃金が例2とほぼ同額だったとしても、
- 8,199,999万円 × 9/1000 = 73,791円
と計算され、この場合の年間の保険料は「73,791円」になります。
業種によって危険度が変わり、災害発生率が違いますので、保険料にも差が出てくるというわけですね。
※実際に保険料を計算するときは千円未満を切り捨てた数字「8,199」に「9」をかけて保険料を計算します。
保険料を計算するときは、賃金を千円単位にして(千円未満は切り捨て)保険率をかけるとかんたんですよ!
240万円×3/1000=7,200円
これを、2,400(千円)×3と考えればいっぱつですね!
業種ごとの労災保険率は以下のページをご覧ください。
コメント
複数業種への関わり方について…
先ほどは失礼しました。
先の質問では全く農業に従事していない従業員のことを質問しましたが…
12ヶ月のうち、2か月弱は農業に従事し、残りは林業、建設業に従事している場合、農業の保険料算定の際、従事している2ヶ月の賃金を計上すればよろしいでしょうか?
あと、事業主(代表取締役)の同居親族は原則加入不可となっていますが、これは、取締役等の役員の同居親族にも当てはまるのでしょうか?
>yukiさん
>従事している2ヶ月の賃金を計上すればよろしいでしょうか?
はい。そのようになります。
>取締役等の役員の同居親族
「同居親族が原則加入不可」という規定は、あくまで「事業主の同居親族」について言っているものと思います。ですので、当てはまるか当てはまらないかで言えば「当てはまらない」ということになると思いますが、実態としては事業主の同居親族も取締役の同居親族も同様の従事形態ということはよくある話かと思います(兄弟で経営している等)。なので、会社にもよるのですが、どちらも同じように考えていた方がもしかしたら無難かもしれませんね。
考え方としては、労災保険の対象にしてほしいのか、しなくていいのかで考えるのがおすすめです。
こちらやこちらで少し説明しているのですが、労災保険の対象にしたいのなら、賃金や労務管理等、普段から他の労働者と同様に取り扱っておく必要があります。
蛇足ですが、一番問題になるのは実際にけがをしてしまったときです。書類等が整備されていなかったために同様の実態が証明できず労災の対象にならなかったケースは多々あります。
ご回答、ありがとうございます。
その通り、兄弟経営です。
私の旦那が取締役で、私は事務全般と農業に従事しております。
草刈りなどの仕事もしておりますにので、ケガがないこともなく…
加入対象としてもらいたいと思うのですが…雇用保険には加入しておりません。
(週3~4日、1日5時間程度の勤務)
今まで、私の賃金は農業の労災保険料の算定の際に計上しておりました。
この場合はケガをした際に労災の対象にはなりにくいですかね?
代表取締役の配偶者も従事しておりますが事務仕事です。
(月8万円、週2~3日、1日6時間程度)
こちらは事業主の同居親族ということで労災・雇用保険ともに加入しておりません。
>yukiさん
先程のように事業主の同居親族についての規定ですので、それをもって労災の対象にならないということはないと思いますが、グレーに近いということはあるかもしれません。
ですので、加入対象としたいなら、できるだけ会社側の人間と判断されないように、他の労働者と同様と判断されるように、各書類を整備しておくことをおすすめいたします。
とても丁寧に教えていただき、ありがとうございました。
大変、助かりました。
また、質問させていただくことがあるかと思いますが、
よろしくお願いします。