労災の申請の手順【かんたんガイド】

労災の申請の手順
  • 労働保険に加入する

    労災保険と雇用保険がセットで労働保険です。
    労働者を雇用したら必ず労災保険に加入しましょう。
    雇用保険も条件にあてはまれば加入しなければなりません。

  • 保険料を支払う

    労働保険に加入したり更新すると保険料を支払わなければなりません。
    労災保険は全額事業主負担ですが、雇用保険は一部個人負担があります。

  • けがをした!

    仕事中や通勤途中にけがをしたらまずは病院へ行きましょう!
    会社への報告も忘れずに。

    病院には「労災です」と伝えること。労災の申請手続きは後からでも可能です。

  • 労災に請求する

    療養費(病院代やくすり代)や休業補償など、必要に応じて労災の申請手続きをしましょう。
    労災は請求書を作成して提出しないとなにも支給されません。

  • 必要な給付を受ける

    労災に認定されれば、必要に応じ労災保険から療養費・休業補償・移送費などが支給されます。

労災の申請手順

STEP1からSTEP5までの労災の申請の手順について順番に見ていきましょう。よくある質問にもお答えしていきます。

けがをした後の労災申請手順を知りたい人はSTEP3からご覧いただければ大丈夫です。

労災の手続きの流れ

STEP 1 労働保険に加入する

労働保険に加入するのは労働者を雇用した事業主の義務です。労働者を雇用したら事業主は労働保険に加入する手続きをしなければなりません(農林水産事業の一部を除きます)。

労働保険ってなに?

管理人
管理人

労働保険とは、仕事中にけがをした場合などに受給できる労災保険と、失業した場合に受給できる雇用保険セットになっているものです。
詳細はこちら
労災保険の概要について
雇用保険の概要について

労働保険の対象者はだれなの?

管理人
管理人

名称や雇用形態にかかわらず、労働の対価として賃金を受けるすべての人(=労働者)が対象です。
詳細はこちら
労働保険の対象となる「労働者」の範囲とは

労働保険の手続きはいつまで、どこでやらなきゃならないの?

管理人
管理人

労働者を新規に雇用してから10日以内に手続きしなければなりません。
管轄の労働基準監督署公共職業安定所(ハローワーク)で手続きをおこないます。
保険関係成立届保険料申告書などの書類の提出が必要です。
詳細はこちら
労働保険の新規加入・保険料の納付について

更新の手順は?

管理人
管理人

毎年6月1日〜7月10日までの期間に年度更新手続きをおこないます。手続きの書類は、時期が近づくと送られてきます。
詳細はこちら
労働保険の年度更新手続き(確定申告)について

労働保険に未加入だとどうなっちゃうの?

管理人
管理人

保険料のほかに追徴金を課せられたり、労働者がけがをした場合にその給付の費用を事業主が負担しなければならなくなることがあります。
詳細はこちら
労災保険に入らないとどうなるの?(費用徴収制度)

社長は労災保険に入れないの?

管理人
管理人

特別加入制度を利用して加入できる場合があります。
詳細はこちら
労災保険の特別加入について

STEP 2 保険料を支払う

労働保険に新規加入したり更新したら、事業主は保険料を支払わなければなりません。保険料の支払いは、専用の納付書により金融機関などで納付する方法と、口座振替する方法があります。

保険料はいくらくらいかかるの?

管理人
管理人

保険料は、事業内容や支払い賃金などから計算します。保険料の具体的な計算方法や事例については下の記事をご覧ください。
労災保険料
全額事業主負担雇用保険料一部個人負担(3分の1くらい)があります。
詳細はこちら
労災保険の保険料はいくらくらい?
労災保険の保険料はいくらくらい?(建設業編)
労災保険料率・雇用保険率について

保険料はいつまでに支払わなければいけないの?

管理人
管理人

新規加入のときは労働者を雇用した日から50日以内更新のときは6月1日〜7月10日まで(条件により延納あり)に納付しなければなりません。
詳細はこちら
労働保険の新規加入・保険料の納付について
労働保険の年度更新手続き(確定申告)について

支払いが遅れる(滞納)とどうなるの?

管理人
管理人

保険料を滞納すると延滞金がかかったり、事故が起こってしまったときに費用徴収制度の適用になることがあります。
詳細はこちら
労働保険料を滞納したときの延滞金
費用徴収制度について

保険を使うと保険料はあがるの?

管理人
管理人

メリット制の適用になっている事業は保険料の増減があります。メリット制の適用になっていない事業は保険料の増減はありません。
詳細はこちら
メリット制について

STEP 3 けがをした!

仕事中や通勤途中にけがをしてしまった場合、最初に必要な手順としては「病院に行くこと」と「会社に報告すること」です。労災の申請はその後でも大丈夫です。

仕事中にけがをしたけど、どうしたらいいの?

管理人
管理人

緊急の場合は救急車を呼ぶ、適切な応急処置をするなど、すぐに病院を受診しましょう!
それほど緊急ではない場合でも、状況を会社の人にきちんと伝え、早めに病院を受診するようにしましょう。
病院には必ず「労災」と伝えましょう。労災の申請は後からでも可能だと思いますが、その後の労災の申請の手順については病院の指示に従ってください。

どこの病院に受診してもいいの?

管理人
管理人

どこの病院でもかまいませんが、できれば労災指定病院をおすすめします。労災申請の手続きが楽に済むなどのメリットがあります。
詳細はこちら
労災指定病院とは

間違って保険証でかかってしまったんだけど?

管理人
管理人

業務災害や通勤災害には健康保険などは使えません。間違って使ってしまった場合でも、労災保険に切り替えることができます。手順については下を参考にしてください。
詳細はこちら
労災なのに間違って健康保険を使ってしまった!

労働基準監督署に報告は必要なの?

管理人
管理人

死亡災害や休業4日以上の見込みの場合は速やかに労働者死傷病報告(様式第23号)を、休業1〜3日の場合は四半期ごとに取りまとめて労働者死傷病報告(様式第24号)を提出しなければなりません。
詳細はこちら
労災かくし!会社が労災を使いたくない理由は?

STEP 4 労災申請をする

けがが少し落ち着いたら労災の申請手続きに入ります。会社主導で手続きを進めてもらえれば一番良いのですが、自分で申請手続きをしなければならないこともあります。

労災は請求書を提出しないと何も受給することができません。しかも、病院代、くすり代、整骨院の施術費用、休業補償、移送費、診断書料など、請求するものごとにそれぞれ請求書の提出が必要になります。

労災の申請手続きの手順を教えて!

管理人
管理人

労災は請求しないとなにも受け取ることができません。労災に申請したい=請求書を提出しなければならないということです。
申請の手順は、請求書の(1)入手→(2)作成→(3)提出になります。
療養費、休業補償、診断書、移送費、後遺障害など、請求したいものごとに請求書の(1)入手→(2)作成→(3)提出が必要です。労災は、なにをするにも毎回、請求書や申請書が必要になると思って間違いないです。
また、労災は大きく分けて業務災害(仕事中)と通勤災害(通勤途中)の2つがあり、請求書はそれぞれ業務災害用通勤災害用がありますので注意してください。
(1)入手
 ダウンロードか最寄りの労働局・労働基準監督署で入手します。
詳細はこちら
労災保険の請求書(申請書)様式・書類の入手にについて
(2)作成
 請求書によって、事業主に記入してもらったり、病院や薬局などの証明が必要なものがあります。
詳細はこちら
労災5号様式の記入例と書き方
労災6号様式(変更届)の記入例と書き方
労災7号様式(費用請求)の記入例と書き方
労災8号様式(休業補償)の記入例と書き方
(3)提出
 請求書によって、病院や薬局などに提出するものと、管轄の労働基準監督署に提出するものがあります。(詳しくは上の(2)の記事を参考にしてください)

労災の申請手続きはだれがしなければいけないの?

管理人
管理人

あくまで労災の請求人・申請人は「けがをした本人」なので、本人が手続きをするというのが基本になります。しかし、本人が手続きできないときもあると思います。できるだけ会社にお願いして手続きを進めてもらうというのが一番良いと思います。

請求の手続きはいつまでにしなければいけないの?

管理人
管理人

給付の種類ごとに時効が決められています。時効が成立するまで請求することはできますが、できるだけ早めの手続きをおすすめします。
詳細はこちら
労災申請の期限(時効)について

労災請求を会社から拒否されたけど?

管理人
管理人

会社から請求を拒否されても、労災請求することは可能です。
詳細はこちら
社長が労災を使わせてくれないときは

STEP 5 必要な給付を受ける

労災に請求書を提出した後は、労働局・労働基準監督署で労災になるかどうか審査されます。だれが見ても明らかなものはすぐに労災と認定されますが、仕事が原因かどうか微妙なものだったりした場合、決定までに数ヶ月単位で時間がかかる場合があります。

審査の結果、労災に認定されれば必要な給付を受けることができます。
しかし、最終的に労災に認定されなかった場合は健康保険などの扱いになるため、それまでの費用を後日まとめて支払わなくてはならなくなりますので注意が必要です。

労災に認定されたら、なにをいくらくらいもらえるの?

管理人
管理人

労災保険の給付は多くの種類があり、人によっても様々なケースがあります。仕事中に大けがをしてしまった場合を例に、なにをいくらくらいもらえるのかをシミュレーションしてみた記事がありますので参考にしてみてください。
参考記事
労災支給金額いくらもらえるかシミュレーション!

労災の認定結果は、通知が来るの?

管理人
管理人

労災に認定されてもされなくても通知書が送られてきます。
ただし、労災指定医療機関で治療を受けたり薬をもらったりした分は、その受けた療養そのものが労災の給付という考え方ですので、労災に認定された場合は通知書は送られてきません。

休業補償はいくらくらいもらえるの?

管理人
管理人

概算ですが、「けがをする前にもらっていた給料の約8割が休業4日目からもらえる」計算になります。
詳細はこちら
休業補償の金額はいくらくらいもらえるの?

休業補償はどのくらいの期間で振り込まれるの?

管理人
管理人

ケースバイケースになります。請求書に不備や疑義がある、調査に時間を要しているなどにより決定までの時間が大きく変わります。
詳細はこちら
労災の休業補償の支給日(振込日)はいつなの?

通院の交通費は支給されるの?

管理人
管理人

移送費(通院の交通費)の支給基準にあてはまれば支給されます。
詳細はこちら
労災で通院するための交通費(移送費)は支給されますか?
通院時のタクシー代は労災から支給されますか?

診断書の料金は支給されるの?

管理人
管理人

労災の申請に必要な診断書や、労災から提出を指示された診断書であれば支給されますが、会社に提出するものや個人で使用するものは支給されません。
詳細はこちら
労災で使う診断書料(文書料)の費用負担について

後遺症が残ったらどうなるの?

管理人
管理人

障害等級第1〜14級までに該当する程度の後遺症であれば、年金や一時金を受給することができます。
詳細はこちら
後遺障害の労災認定について

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