労災で通院するための交通費(移送費)は支給されますか?

療養(補償)給付
この記事は約5分で読めます。
質問

仕事中にけがをしてしまい労災保険で治療中ですが、病院に通院するための交通費移送費)は労災保険から給付されるのでしょうか。

答え

労災保険には、移送費交通費)の給付制度がありますが、どこの病院に行っても支給されるというものではありません。
移送費(交通費)の支給基準が決まっており、この基準に当てはまった場合に支給されます。

管理人

下でくわしく説明するよ☆

労災では通院の交通費(移送費)も支給される

労災の移送費(交通費)

労災保険では、通院のための交通費も給付の対象となっています。労災ではこれを「移送費」と呼んでいます。

しかし、交通費(移送費)の支給要件がしっかりと定められているため、必ず支給されるというものではありません「どこの病院に」「どんな方法で」というのがしっかりと決められているのです。

わかりやすいように極端な例を出しますと、北海道に住んでいる人が、単に東京に行く方が腕の良い先生がいる病院があるからと飛行機に乗って東京の病院に通院したとします。

もちろん、どこの病院に通おうが本人の自由ですから、通院すること自体はかまわないと思います。しかし、このような場合は労災保険から交通費は支給されませんので、飛行機代などの交通費は自己負担になってしまいます。

労災保険の移送費(交通費)の支給基準

労災保険の通院するための交通費の支給基準は以下のとおりです。

住居地または勤務地から、原則、片道2km以上の通院であって、次の1から3のいずれかに該当するもの。

  1. 同一市町村内の適切な医療機関へ通院したとき
  2. 同一市町村内に適切な医療機関がないため、隣接する市町村内の医療機関へ通院したとき
  3. 同一市町村内および隣接する市町村内に適切な医療機関がないため、それらの市町村を超えた最寄りの医療機関へ通院したとき
管理人
管理人

う〜ん…、ちょっとわかりづらいと思いますので、補足説明しますね!

原則、通院の距離が「片道2km以上」じゃないと支給されない

自宅から通院するなら「自宅〜病院」までの距離が、会社から通院するなら「会社〜病院」までの距離が、「片道2km以上」なければ支給の対象とはなりません。

これは単純に距離が近過ぎてしまうと対象にならないということだと思います。

大手企業や公務員の「通勤手当」などの基準も、通勤距離が2km未満の場合は支給の対象にならないことが多いですが、これと同じ理屈でしょう。

適切な医療機関ってなに?

「適切な医療機関」とは、その傷病の診療に適した医療機関をいいます。

たとえば、骨折したのなら「整形外科」、精神障害を発病したのなら「精神科・心療内科」、頭をぶつけたのなら「脳外科」、歯を折ったのなら「歯科」というようなことです。

ですから、たとえば「骨折」をして「自宅から通う」場合を例にしますと、自宅がある市町村内に整形外科があり、片道2km以上の距離があれば交通費が支給対象となることになります。

同一市町村内じゃないとだめなの?

小さい町や村だと、骨折したのに整形外科がないとか、あったとしても常勤医がおらず適切な治療がすぐに受けられないなどのような場合があります。

このようなときは、お隣りの市町村にある整形外科までが交通費の支給対象となり、さらにそこにもないような場合は、そのとなり町の最寄りの整形外科までの通院であれば交通費が支給されるということになります。

交通手段はなんでもいいの?

この支給基準には書かれてはいないのですが、仮にここまでの条件は満たされていたとしても、もう一つ「交通手段」に対しても基準が決まっています。

それは、バス、地下鉄、電車、自家用車などの一般的な「公共の交通手段」が対象になっているということです。

タクシーなどは原則、支給の対象にはなっていませんが、両足を骨折するなど、傷病の状態からみて公共交通機関での通院は困難と考えられるような場合など、タクシーを使用する妥当性が認められれば支給されることもあります。

労災の交通費

移送費の支給額はいくら?

労災から交通費が支給される場合の金額はいくらくらいになるのでしょうか。

バスや地下鉄、電車などで通院する場合は、その区間の運賃が決まっていますので、その定められている運賃分が支給されます。したがって、基本的には実費が支給されることとなります。

自家用車の場合は、1kmあたり37円で計算された金額が支給されます。(これは実際に計算してみるとわかりますが、ガソリン単価などと比べてみても結構高い金額になりますのでお得です。)

なお、自家用車の場合、自分で運転しなくても、家族の人に病院まで送り迎えしてもらうようなときでも支給の対象になります。(会社の車で送り迎えしてもらうような場合は支給されません)

移送費の請求方法

労災に移送費(交通費)を請求するときは、

  • 業務災害の場合は「療養補償給付たる療養の費用請求書_業務災害用(様式第7号(1))」
  • 通勤災害の場合は「療養給付たる療養の費用請求書_通勤災害用(様式第16号の5(1))」

に病院や事業主の証明をもらったうえで、管轄の労働基準監督署に提出することになります。(労働基準監督署によっては、請求書のほか、交通手段や経路などを示す内訳書などの添付が必要になる場合があります。また、タクシー代などを請求する場合は、領収証も必要になります。)

交通費以外に、残業代・賃金未払いなどの請求もれはありませんか?

以上のように、労災では交通費が支給されますから面倒でもきちんと手続きをしましょうね。

また、それ以外にも「まだ振り込まれていない給料がある」「残業代がちゃんと支払われていなかった」などのことがあるなら、当然しっかりともらわないとおかしいです。

自分で解決できれば一番良いと思いますが、自分ではなかなか…という人も多いと思います。そんなときは、無料で相談が可能な相談サポートで、一度、ちゃんと相談してみることをおすすめします。「絶対に払ってもらえないと思っていたのにちゃんと支払われた!」「相談してよかった!」などの声も多く寄せられていますので、あきらめずにしっかりもらうものはもらいましょう。

管理人

管理人によるまとめ

労災保険の移送費(交通費)は、どこの病院に通院しても支給されるわけではなくて、きちんと支給基準が決まっている!

また、タクシー代は原則、支給されないことになってるけど、病状によっては出る場合もあるから、領収証は忘れずにとっておきましょうね!

コメント

  1. 鈴木 より:

    通勤労災で骨折、退院して通院になりました。通院は1ヶ月に一回経過観察しています。そして復職もすることになりました。次回受診する時は休まないと大学病院のため診察行けません。それは有給を使って休むのですか?それとも休んだ日は労災で休業保障してくれるのですか?

  2. HANA より:

    コメントありがとうございます。

    まず、診察のために休業した分につきまして、
    1 有給休暇を使うか
    2 休業補償を請求するか
    ですが、これにつきましては御本人がどちらかを選択することになります。

    どちらにもメリット・デメリットがあり、有給休暇を使った場合は一般的に休業補償よりも高い金額をもらえますが、その分、有休を消化してしまうことになります。
    反対に休業補償を請求した場合は、有休を残しておくことはできますが、もらえる金額は一般的に低くなります(8割程度)。

    なお、休業補償を請求した場合、一般的に考えれば、通院のために働けない時間といえると思いますので支給されそうに思いますが、最終的に支給されるかされないかは労基署の判断になります。支給されたとしても半日分しか支給されないなど減額されることも考えられます(病院に丸一日かかるというのは考えづらいなどの理由で)。

  3. 移送費の考え方 より:

    移送費に関して

    労災で指が解放し、指の腱も切断しました。
    救急車を呼んだ際、受け入れ拒否を8軒され、隣接していない市の病院に運ばれました。
    その後、入院、リハビリ含む五ヶ月間の通院を終え、指が動かないまま症状固定となりました。

    今回、移送費の請求を行ったところ、隣接していない市への通院は認められないとなりました。
    手術が終わったら、すぐに近場に転院すべきとのこと。
    予後観察が大切であり、再建するまでに転院とかありえなかったのですが、それも自己都合とのこと。
    役所的な規定として、やはりそんなもんでしょうか❓

  4. HANA より:

    コメントありがとうございます。
    お話から相当重度のお怪我をされ、大変な思いをされたとお察し致します。

    >手術が終わったら、すぐに近場に転院すべきとのこと。
    >役所的な規定として、やはりそんなもんでしょうか?

    本当にこのように説明があったのなら、明らかに「お役所的」ですね。。^^;

    移送費の支給基準は、当記事の本文中に書いているとおりになっていて、これだけを見れば確かに該当しないのかもしれません。しかし、この支給基準はあくまでも「原則」であって、ということは当然「例外」があるわけです。

    その一つとして「入院後の通院」があります。おっしゃられているとおり、予後観察が大切ですし、退院した後も、その入院していた病院に通院するというのは普通のことですから、入院していた病院に通院する場合、当面の間は移送費の支給対象となることがあります。

    当然、最初の段階で自分勝手な理由で遠くの病院を選んで入院したような場合は話は変わってきますが、お話からいきますと、自分で病院を選べないような状況だったわけですから、恣意的理由で遠方の病院に入院したというわけではありません。実際に、このような場合、支給されている例を見てきました。

    請求しようと思ったけど、窓口や電話で支給は難しいと言われたということでしょうか?
    それとも、移送費の請求をして、正式に不支給通知が来たということでしょうか?

    以下、私ならこうするということをお話させていただきます。
    (支給を保証するものではありませんし、あくまでも参考程度にとどめてください。)

    前者の場合は、無視して請求書を提出します。聴き取り調査などがあると思いますが、経過や理由などをきちんと説明します。

    後者の場合は、審査請求をします。審査請求については、
    労災がおりない3つの理由とその対策
    こちらの記事に書いてありますのでご覧になってみてください。期日が決められていますので注意してください。

    >指が動かないまま症状固定となりました。
    ご存知かと思いますが(念のため)、障害請求ができます。

タイトルとURLをコピーしました