労災で通院するための交通費(移送費)は支給されますか?

質問

仕事中にけがをしてしまい労災保険で治療中ですが、病院に通院するための交通費移送費)は労災保険から給付されるのでしょうか。

ココがポイント
  • 労災保険には交通費の支給制度があります。
  • ですが、交通費(移送費)には支給基準があります。
  • なので、どこの病院に行っても支給されるというわけではありません。

こんにちは!『労災保険!一問一答』のHANAです。

『どんなときに交通費が支給されるのか』『交通費はいくらくらいもらえるのか』『交通費の手続き方法』についてお話していきます。

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下でくわしくお話するよ!

労災では通院の交通費(移送費)も支給される

労災の移送費(交通費)

労災保険では、通院のための交通費も給付の対象となっています。労災ではこれを「移送費」と呼んでいます。

しかし、交通費(移送費)の支給要件がしっかりと定められているため、必ず支給されるというものではありません。交通費をもらうためには「どこの病院に」「どんな方法で」というのが大事になります。

わかりやすいように極端なお話しをしますと、北海道に住んでいる人が、単に東京に行く方が腕の良い先生がいる病院があるからと飛行機に乗って東京の病院に通院したとします。

もちろん、どこの病院に通おうが本人の自由ですから、通院すること自体はかまわないと思います。しかし、このような場合は労災保険から交通費は支給されませんので、飛行機代などの交通費は自己負担になってしまいます。

労災保険の移送費(交通費)の支給基準とは

労災保険の通院のための交通費の支給基準はこのようになっています。

住居地または勤務地から、原則、片道2km以上の通院であって、次の1から3のいずれかに該当するもの。

  1. 同一市町村内の適切な医療機関へ通院したとき
  2. 同一市町村内に適切な医療機関がないため、隣接する市町村内の医療機関へ通院したとき
  3. 同一市町村内および隣接する市町村内に適切な医療機関がないため、それらの市町村を超えた最寄りの医療機関へ通院したとき
管理人
管理人

う〜ん…、ちょっとわかりづらいと思いますので、補足説明しますね!

通院の距離が「片道2km以上」じゃないと支給されない

自宅から通院するなら「自宅〜病院」までの距離が、会社から通院するなら「会社〜病院」までの距離が、「片道2km以上」なければ支給の対象とはなりません。

これは単純に距離が近過ぎてしまうと対象にならないということだと思います。

大手企業や公務員の「通勤手当」などの基準も、通勤距離が2km未満の場合は支給の対象にならないことが多いですが、これと同じ理屈でしょう。

適切な医療機関じゃないと支給されない

「適切な医療機関」とは、その傷病の診療に適した医療機関をいいます。

たとえば、骨折したのなら「整形外科」、精神障害を発病したのなら「精神科・心療内科」、頭をぶつけたのなら「脳外科」、歯を折ったのなら「歯科」というようなことです。

これはある意味当たり前のことなので、あまり問題にはならないと思います。

基本は同一市町村内じゃないと支給されない

自宅や会社などの「通院の拠点になる場所」と「病院」が『同一市町村内』にあるときに交通費が支給されるというのが基本になります。

ただし、小さい町や村だと、骨折したのに整形外科がないとか、あったとしても常勤医がおらず適切な治療がすぐに受けられないなどのようなときもあります。

こんなときは、お隣りの市町村にある整形外科までが交通費の支給対象となり、さらにそこにもないようなときは、そのまた隣り町の最寄りの整形外科までなら交通費が支給されるということになります。

公共の交通手段じゃないと支給されない

この支給基準には書かれてはいないのですが、仮にここまでの条件は満たされていたとしても、もう一つ「交通手段」に対しても基準が決まっています。

それは、バス、地下鉄、電車、自家用車などの一般的な「公共の交通手段」が対象になっているということです。

タクシーなどは原則、支給の対象にはなっていませんが、両足を骨折するなど、傷病の状態からみて公共交通機関での通院は困難と考えられるような場合など、タクシーを使用する妥当性が認められれば支給されることもあります。

労災の交通費

移送費(交通費)はいくらもらえる?

労災から交通費が支給される場合、金額はいくらくらいもらえるのでしょうか。

バス・地下鉄・電車など

バスや地下鉄、電車などで通院する場合は、その区間の運賃が決まっていますので、その定められている運賃分が支給されます。なので、この場合は実費負担分が支給されます。

自家用車など

自家用車の場合は、1kmあたり37円で計算された金額が支給されます。(これは実際に計算してみるとわかりますが、ガソリン単価などと比べてみても結構高い金額になりますのでお得です。)

なお、自家用車の場合、自分で運転しなくても、家族に病院まで送り迎えしてもらうようなときでも支給の対象になります。(会社の車で送り迎えしてもらうような場合は支給されません)

移送費の請求手続き

労災に移送費(交通費)を請求するときは、

  • 業務災害の場合は「療養補償給付たる療養の費用請求書_業務災害用(様式第7号(1))」
  • 通勤災害の場合は「療養給付たる療養の費用請求書_通勤災害用(様式第16号の5(1))」

に病院や事業主の証明をもらったうえで、管轄の労働基準監督署に提出することになります。(労働基準監督署によっては、請求書のほか、交通手段や経路などを示す内訳書などの添付が必要になる場合があります。また、タクシー代などを請求する場合は、領収証も必要になります。)

交通費以外に、残業代・賃金未払いなどの請求もれはありませんか?

労災では交通費も支給対象になりますから、面倒でもきちんと手続きをしましょうね。

それ以外にも「まだ振り込まれていない給料がある」「残業代がちゃんと支払われていなかった」などのことがあるなら、当然しっかりともらわないとおかしいです。

自分で解決できれば一番良いと思いますが、自分ではなかなか…という人も多いと思います。そんなときは、無料で相談が可能な相談さぽーとで、一度、ちゃんと相談してみることをおすすめします。「絶対に払ってもらえないと思っていたのにちゃんと支払われた!」「相談してよかった!」などの声も多く寄せられていますので、あきらめずにしっかりもらうものはもらいましょう。

管理人

まとめ

労災保険の移送費(交通費)には支給基準があり、どこの病院に通院しても支給されるわけではない!

また、タクシー代は原則、支給されないことになってるけど、病状によっては出る場合もあるから、領収証は忘れずにとっておきましょう!

コメント

  1. 鈴木 より:

    通勤労災で骨折、退院して通院になりました。通院は1ヶ月に一回経過観察しています。そして復職もすることになりました。次回受診する時は休まないと大学病院のため診察行けません。それは有給を使って休むのですか?それとも休んだ日は労災で休業保障してくれるのですか?

  2. HANA より:

    コメントありがとうございます。

    まず、診察のために休業した分につきまして、
    1 有給休暇を使うか
    2 休業補償を請求するか
    ですが、これにつきましては御本人がどちらかを選択することになります。

    どちらにもメリット・デメリットがあり、有給休暇を使った場合は一般的に休業補償よりも高い金額をもらえますが、その分、有休を消化してしまうことになります。
    反対に休業補償を請求した場合は、有休を残しておくことはできますが、もらえる金額は一般的に低くなります(8割程度)。

    なお、休業補償を請求した場合、一般的に考えれば、通院のために働けない時間といえると思いますので支給されそうに思いますが、最終的に支給されるかされないかは労基署の判断になります。支給されたとしても半日分しか支給されないなど減額されることも考えられます(病院に丸一日かかるというのは考えづらいなどの理由で)。

  3. 移送費の考え方 より:

    移送費に関して

    労災で指が解放し、指の腱も切断しました。
    救急車を呼んだ際、受け入れ拒否を8軒され、隣接していない市の病院に運ばれました。
    その後、入院、リハビリ含む五ヶ月間の通院を終え、指が動かないまま症状固定となりました。

    今回、移送費の請求を行ったところ、隣接していない市への通院は認められないとなりました。
    手術が終わったら、すぐに近場に転院すべきとのこと。
    予後観察が大切であり、再建するまでに転院とかありえなかったのですが、それも自己都合とのこと。
    役所的な規定として、やはりそんなもんでしょうか❓

  4. HANA より:

    コメントありがとうございます。
    お話から相当重度のお怪我をされ、大変な思いをされたとお察し致します。

    >手術が終わったら、すぐに近場に転院すべきとのこと。
    >役所的な規定として、やはりそんなもんでしょうか?

    本当にこのように説明があったのなら、明らかに「お役所的」ですね。。^^;

    移送費の支給基準は、当記事の本文中に書いているとおりになっていて、これだけを見れば確かに該当しないのかもしれません。しかし、この支給基準はあくまでも「原則」であって、ということは当然「例外」があるわけです。

    その一つとして「入院後の通院」があります。おっしゃられているとおり、予後観察が大切ですし、退院した後も、その入院していた病院に通院するというのは普通のことですから、入院していた病院に通院する場合、当面の間は移送費の支給対象となることがあります。

    当然、最初の段階で自分勝手な理由で遠くの病院を選んで入院したような場合は話は変わってきますが、お話からいきますと、自分で病院を選べないような状況だったわけですから、恣意的理由で遠方の病院に入院したというわけではありません。実際に、このような場合、支給されている例を見てきました。

    請求しようと思ったけど、窓口や電話で支給は難しいと言われたということでしょうか?
    それとも、移送費の請求をして、正式に不支給通知が来たということでしょうか?

    以下、私ならこうするということをお話させていただきます。
    (支給を保証するものではありませんし、あくまでも参考程度にとどめてください。)

    前者の場合は、無視して請求書を提出します。聴き取り調査などがあると思いますが、経過や理由などをきちんと説明します。

    後者の場合は、審査請求をします。審査請求については、
    労災がおりない3つの理由とその対策
    こちらの記事に書いてありますのでご覧になってみてください。期日が決められていますので注意してください。

    >指が動かないまま症状固定となりました。
    ご存知かと思いますが(念のため)、障害請求ができます。

  5. サリー より:

    装具費と移送費の請求についてお聞きします。

    7/21(火曜)に右足首腓骨骨折で手術をし、7/29に退院しました。

    骨折ということで、装具費を振込にて支払いし、労災で戻ってくるということで請求書を準備し、勤務先記入欄に記入して頂いたきました。この7号様式書類で、装具費用の請求のみするつもりでいましたが、こちらのサイトで移送費(交通費)の請求もできることを知りました。

    初めに受診した日は、自分で運転していきました
    その後、退院の日と一週間後の通院日は身内に自家用車で送ってもらいました。
    今後も暫くは週一回の通院になりそうです。
    この場合の装具費と移送費の請求は同じ用紙に記入しても良いのでしょうか?
    また、装具代金はもう確定しておりますが、移送費は今後数か月かかる予定で、かつ記入欄に回数を記入する欄があるので、症状が固定されてからまとめて請求するのが良いのでしょうか?ちなみに、入金は急いではいません。
    ご回答よろしくお願いいたします。

  6. HANA より:

    >サリー さん

    コメントありがとうございます。

    装具費と移送費は同じ1枚の用紙で請求することが可能ですが、お話の内容からいきますと、分けて請求手続きをされた方が良いかもしれませんね。

    理由としましては、移送費の請求の際は「医師の証明」欄に請求する期間分の証明をもらう必要があるからです(いつからいつまで診療実日数◯日など)。装具費の請求書作成の際に証明をもらっていればその期間分だけの請求は可能ですが、入金は急いでいないとのことですし、移送費については通院がすべて終わった後にまとめて請求するのがすっきりするかもしれませんね。移送費の時効は「2年」ですのでそれ以内なら大丈夫です。身内に自家用車で送ってもらった分も対象になりますので請求に含めてくださいね。お大事になさってください。

  7. サリー より:

    早速回答いただきありがとうございます!
    私としては、職場に何度も書類を記入してもらうのに気が引けるので、できれば1枚で済ませたいと思い、質問させていただいた次第です。もし、1枚にまとめたい場合はHANA様がおっしゃるように、通院がすべて終わった後に移送費と装具費を請求しても良いということですよね?

    そして、別件なのですが、今回足首骨折の手術でピンを入れてワイヤーで固定する手術をいたしました。1年後位に抜釘手術をする予定ですが、この場合、抜釘手術が終わってはじめて、症状固定という事になるのでしょうか?
    もしそうだとしたら、休業補償も含め、すべての請求手続きは抜釘手術後に行うのが正解なのでしょうか?
    何度も質問して申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。

  8. HANA より:

    >サリー さん

    >通院がすべて終わった後に移送費と装具費を1枚で請求
    可能です。
    病院でまだ医師証明欄は書いてもらっていないということでよろしいでしょうか?それなら手続きするときに書いてもらえば問題ないと思いますが、すでに書いてもらっている場合は手続きするときに病院に期間や日付などの訂正をお願いする必要が出てきますのでご注意ください。

    >休業補償
    比較的、短期間で休業が終わる見込みなら、職場復帰後に手続きをすれば一度で済みます(抜釘分を除く)。しかし、仮に数ヶ月単位の休業見込みなのであれば、1ヶ月毎くらいに区切って請求手続きすることが一般的になっています。
    まとめて請求しても構わないですが、理由書などの書類を求められるケースがあります。

    >抜釘手術が終わってはじめて症状固定になるのか
    これはケースバイケースと言いますか、都道府県によっても取り扱いが変わることもあります。
    ただ、抜釘の場合の一般的な取り扱いとしましては、症状が落ち着いた段階でいったん症状固定し、抜釘の時期になったら「再発」の取り扱いに準じて再度手続きするというのが一般的になっています。抜釘の分にかかる請求書、診療費(様式5号)、移送費(7号)、休業補償(8号)などはそのときに再度提出する必要が出てくるということですね。いったん打ち切りのかたちにはなりますが、再度、労災を復活させるというイメージになります。

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