こんにちは!『労災保険!一問一答』のHANAです。
『労災保険に個人負担はあるのか?』『どういうものが自己負担になるのか?』『どんなときに立替が必要になるのか?』についてお話していきます。
下でくわしくお話するよ!
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労災保険は自己負担分ってあるの?
風邪をひいて病院に行くとき保険証を見せて受診しますね。こんなときは病院に1〜3割の自己負担分を支払っていると思います。これは、健康保険などの制度により、医療費全額のうち一定の割合を自己負担するように決められているからです。
では、仕事中や通勤途中のけがなどのときに使う労災保険の場合、自己負担額はあるのでしょうか。
労災保険には自己負担はない(基本的には)
健康保険と違って、労災保険で病院にかかる場合には基本的に自己負担額はありません。労災に認定された場合は、病院代やお薬代などの治療費の10割分が労災保険から支払われるので、健康保険の3割負担のように自己負担分という考え方はないのです。
しかし、治療にかかわるものだったとしても、労災保険の支払い対象にならないものもあります。いわゆる保険対象外のものです。こういった労災保険の対象外のものは自分で支払う必要があります。
また、自己負担ではありませんが、一時的に立替が必要になるものもあります。
では、どういうものが「自己負担」になり、どういうときに「立替」が必要になるのか、例をあげてみていきましょう。
自己負担になるものの例
入院時のパジャマ代(病衣代)やおむつ代など
原則的には自己負担になります。ただし、患者が緊急収容され医療機関からパジャマ(病衣)の貸与を受けた場合や、傷病の感染予防上の必要性から医療機関が患者にパジャマ(病衣)を貸与した場合、また、病状などから見て療養のためにオムツが必要であると判断されたような場合は支給されることもあります。
入院時の個室の差額代金
希望して個室などに入院した場合の差額料金は自己負担になります。病状などにより他の人と離す必要があるなどの医学的理由がある場合は支給されるときもあります。
包帯やテープ、湿布などの市販品
治療のために必要にも思えますが、基本的には保険外の扱いになっているので自己負担になります。病状などによっては市販品であっても支給されている例もありますが、けがをした手首が少し冷えるからと購入したサポーターなどのように、治療のためというよりは生活の質の向上や利便性を高めるためのものと判断されれば支給対象とはならない場合もあります。
診断書
会社に提出するための診断書料や、生命保険や入院保険などに提出する文書料は自己負担です。
高額な歯
セラミックやメタルボンド等の保険適用外の材料を使った治療が行われた場合も、全額もしくはその一部が自己負担になることがあります。
歯冠補修や欠損補綴にあたり保険外の材料が必要になる場合、一定の金額(上限8万円)までは支給の対象となりますが、それを超える場合はその必要性を勘案されたうえで判断されます。
なお、もともと保険適用外の材料を用いた補綴等を業務災害等により破損した場合は、それを原状復帰するための費用は労災から支給されます。
立替になるときの例
労災指定医療機関以外にかかったときの治療費
労災指定の病院や薬局などに受診した場合の治療費は、労災保険から直接、医療機関に対し支払われますが、労災指定ではない病院や薬局や整骨院などに受診した場合は、いったん10割分を支払ったうえで、その費用を労災保険に請求する必要があります。
健康保険から労災に切り替えるときの治療費
労災なのに誤って健康保険などを使ってしまった場合は、労災に切り替える手続きが必要になります。切り替えるには、健康保険に7割分を返金し、自己負担分の3割とあわせ10割分の費用を支払ったかたちにしてから、その10割分を労災保険に費用請求するという流れになります。
治療用装具の代金
医師からの指示に基づいて製作したコルセットや下肢装具などの治療用装具は、義肢製作所などに料金を支払ってから労災保険に費用請求する必要があります。
交通費
バスや地下鉄などで通院したときの交通費も、自分で支出したあとに労災請求します。
※ただし、移送費には支給基準があり、必ず支給されるものではありません。
後遺障害を請求するときなどに必要な診断書料
労災に後遺障害を請求するときは、病院に診断書を書いてもらう必要がありますが、この診断書料もいったん立て替える必要があります。
※労災指定医療機関の場合は、令和2年度より病院から直接労災保険に診断書料を請求することが可能になりましたので、一時的な費用負担はなくなりました。
その他
労災指定病院にかかった場合でも、病院によっては労災の請求用紙を持参するまでの間、預り金などを求められる場合もあります。後日、5号様式などを病院に提出すれば返金されます。
コメント
勤務中のケガで、一ヶ月入院しましたが
労災保険で一週間しかきかないと病院で言われました。
あとは自己負担になってしまうのでしょうか?
>チャトーさん
コメントありがとうございます。
正直、もう少し詳しい状況がわからないと、なんともお答えのしようがありません(^o^;)
・どのようなお怪我だったのか
・なぜ1ヶ月入院されたのに1周間しかきかないと言われたのか
・労災がきかなくなった後はどうなると言われたのか
このあたりを教えていただけると何かアドバイス的なことができるかもしれません。
素早い対応、ありがとうございます。
一週間しか労災保険がきかない事は、その様なものなのだと思っていたので
聞いていません。その後の入院費は、健康保険で支払いました。
ケガは肋骨を骨折して二日後に、救急搬送されたため血がたまり
気胸になってしまいました。
すぐに病院に行かなかった事がいけなかったのでしょうか?
>チャトーさん
追記していただきありがとうございました。
労災は「1週間」しかきかないですとか「1年間」しかきかないですとか、そういった明確な期間の決まりはありません。仕事によって負ったものなら『症状固定するまで』、基本的に自己負担なく、労災で治療を継続することができます。その辺のことは下の記事で書いていますので、よろしければご覧になってみてください。
労災治療っていつまで受けられるの?
ここからは私の想像になってしまいますが…。
「気胸」は、外傷によるものだけでなく、様々な原因によって発症するものです。なぜか背の高いヤセ型の男性に多いなど、人によって発症しやすかったりすることもあります。
もしかしたら、「気胸」の発症については「労災による負傷との因果関係がない、または、別原因による発症」のように病院で判断されてしまい、「肋骨骨折」のみが労災の対象となっているのかもしれません。「肋骨骨折」は一般的に安静加療で終わる場合が多いですから、それが落ち着いたのが「1週間」で、それ以降の「気胸」の治療は健保でということなのかも…。
>すぐに病院に行かなかった事がいけなかったのでしょうか?
これも、もしかしたら「気胸」の発症が労災と因果関係がないと判断される一因になっている可能性はあると思います。
その辺の「気胸」の発症機序は確認されていないのでしょうか?「外傷性気胸」という可能性も十分あると思いますので、私ならおそらく納得いかず(笑)、全部労災で支払いしてもらえないのか確認すると思います。
労災で肋骨骨折をしたことで→気胸になった、という明らかな因果関係が認められれば、気胸が症状固定するまでの治療についても労災から支給されるはずです。
自費負担について
通勤途中の転倒による中足足骨折です。
包帯、まつば杖が自費負担と聞きました。
また、今後超音波治療をすると聞いています。
労災で払ってもらえますか?
ギブスのみで手術はしていません。
また、くるぶしが腫れていて痛みもあるのですが、問い合ってもらえずレントゲンも撮っていないことが気になっています。
2週間経ちましたが、腫れと痛みがあります。
強く主張した方がよいでしょうか。
ご教示の程よろしくお願い申し上げます。
>清水和子 様
コメントありがとうございます。
>包帯、まつば杖が自費負担
包帯は本文中にも書いてあるとおり、原則自己負担になります。
松葉杖は無料で貸し出ししてくれる病院が多いのですが、病院によっては料金がかかることもあります。この場合も原則労災保険対象外ですので自己負担になると思います。
>超音波治療
詳細がわからないのでなんとも言えませんが、超音波治療は一般的に骨癒合を促進するためのものですので、労災で払ってもらえる治療の範囲のものと想像します。
>くるぶしの腫れと痛み
あくまで私の経験上ですが、中足骨骨折された場合、同時に足首の痛みを訴える方が多いです。ただやはり気になると思いますので、言いづらいかもしれませんが先生にきちんと主張しておいた方が良いと思います。何か治療法があるかもしれませんし、仮にあとで後遺症が残った場合も診断書に痛みのことを書いてもらえますので。
お大事になさってください(^o^)
仕事中の骨折で入院しています。
利き腕をやってしまい入院の準備ができないため、遠くにいる家族の都合のよい数日後に入院しました。
会社が、当日でなく数日たっての入院だから自分の都合だ。治療費しか払わない、入院費は出さないといっています。
その通りなんでしょうか。
先生からは4週間の入院が必要といわれています。
家でひとりで服の着脱ができないこと、転ぶ危険性、食事の用意ができないので
介助者のいる病院で入院したほうがよい、という判断でした。
>太郎さま
コメントありがとうございます。
労災保険に請求手続きをされているなら、入院費を払うか払わないかを決めるのは会社ではなく労災保険側になります。
その場合、お話の内容からしますと、それほどおかしなお話には思いませんので支払われそうな気はしますが、…あくまで最終判断は労基署になります。
ありがとうございます。。
労基署の判断に従いたいと思います。
主人が仕事中の事故で外傷性気胸により緊急入院しました。その際、病床が満床なので個室しか空いてないと言われ個室になりました。空きが出たら移して欲しいとは伝えたのですが、その場合の差額ベッド代は労災なり会社なりに請求はできるのでしょうか?
ぜひご意見頂けたら幸いです。
>わかばさん
コメントありがとうございます。
私も現役を離れて久しいので記憶が曖昧なのですが…(^_^;)
わかばさんのようなケースですと、労災で支給可能だったような記憶があります。(違ったら本当にすいません!m(_ _)m)
労災指定病院でしたら、病院から労災に請求することになるので、病院を通して管轄の労基署もしくは労働局に確認してもらうと良いと思います。(何度も言いますが違ったら申し訳ありませんっm(_ _)m)
仮に、労災から支給されなかった場合、会社に負担の義務はありませんので自己負担になると思います(善意で支払ってくれる場合もあると思いますが)。
病院の方に確認してみます。
ありがとうございました。
会計年度職員として働いています。通勤途中職場まであと数十メートルの所で左折10トントラックの、巻き込み事故にあいました。加害者の保険会社弁護士から治療費立替の打ち切りが弁護士から来ました。事故から3ヶ月です。まだ、症状は完治していません。病院の先生は労災は申請しても降りないことの方が多い事と私に膠原病がある為、事故と症状の因果関係の立証が難しいとおっしゃって、症状固定にして自費で完治まで通院する事を勧めています。事故以前には手足の痺れや頸部、腰部の痛みはありませんでした。労災申請すると病院によっては10割負担で支払いになるのですか。認められない場合は健康保険での支払いにはならないのでしょうか。
>あさん
コメントありがとうございます。
私が詳細を把握することは困難ですので、どうしても一般的なお話しになってしまいます。
治療費の打ち切りの理由が「症状固定」ということですと、労災でも症状固定の考え方は同じですので、それ以降の治療費を労災申請したとしても支給されることは困難かと思います。
そうではなく「限度額に達したため」というような理由ですと労災に切り替えることは可能かと思いますが、お話しからいきますときっとそうではないのでしょうね…。
>健康保険での支払いにはならないのか
後遺障害との関連も出てくると思いますが、今後も治療を続けられるとして、事故と現症状の因果関係の立証が難しいというのですから、反対に健康保険で対応可能な気がしますが…?
HANA様、初めまして。素晴らしいサイトに出会えて感謝です!
初めて労災を利用し、療養補償給付により無料で通院中ですが、
申請書を提出して審査結果待ちの状況です。
ちなみに、もし審査が落ちた場合は
今まで無料で受けていた分の治療代はどうなるのでしょうか?
今まで受けた分は無料、これから受ける分は有料とか?
あとで今まで受けた全期間の治療代を
10割負担で請求されるのか?と思うと恐ろしくて。。
せめて健康保険に切り替えて3割負担で精算できれば良いのですが・・・
>初心者さん
コメントありがとうございます。
>今まで受けた分は無料、これから受ける分は有料とか?
残念ながらそうはなりません。もし労災にならなかった場合は、最初にさかのぼって健康保険に切り替えることになります。通常は3割負担ですが、ある程度まとまってくるときついですよね…。